第1話 ここはどこ?ボクは、僕!
はじめて異世界転生ものを書いてみました。正しくは、転移かもしれません。それは、主人公の今後に明かされていきます。どうぞ、少しゆっくりなペースで進みますので、気長にお付き合いいただけば嬉しいです。
《……アルバート様!……アルバート様!……》
なぜか遠くで声がする。暗闇の中で、微かに聞こえる声……
呼ばれているのは、誰なんだろう……?
〈……ん?……誰だ?……アルバート?……〉
声が、次第に近づいて来た。
「アルバート様、しっかりしてください。……目を覚ましてください………」
「……う、ううん……ぁあ~……」
ボクは、少しずつ目を開けた。……眩しい……
〈……ん?でも、部屋の中か?ボクは見られている?……いや、覗かれている?……〉
「うおーー、アルバート先生が目を覚ましたぞーーーー!」
ボクには、その名前に心当たりがない。
〈……だから……アルバートって誰?……痛てっ!ん?体が……動かない?……どうしたんだ?……これは?……〉
ボクは、体を動かせないんだ。指の先でも、動かそうとするだけで、激痛が全身を走る。
「よし、意識が戻ったぞ。ハーティ、早くヒールを頼む!」
「分かったわ、あなた……」
ベッドの傍で、女の人が何かを始めようとしていた。両手を広げて、何かぶつぶつ言ってる…………
「あなた、私の力ではここまでよ!……だいぶ傷は癒えてきたし、体も動させると思うの」
「ああ、ありがとうハーティ…………後は、アルバート先生の自然治癒能力に任せよう」
暫くして、女は傍にいた男に何かを話した後、その場から居なくなった。
ボクには、何を言っているのか意味が分からなった。ただ、体の痛みが薄らいで行くことだけは感じた。
「……ああ……こ、ここは?……」
ボクは、声も出せ、周りも見えるようになった。
「ああ、アルバート先生。わしは、アルティシアの父じゃ。
この度はすまなかった……何とお礼を言ったらいいか。
……しばらく休んだら、きっと元のように動けるから、我慢してくれ」
〈何のことだ?ボクが、アルバート先生?確かに先生には違いないが、そんな名前じゃないぞ?〉
ボクは、違和感を覚えたが、会話をするだけの十分な力は出せなかった。ただ、体の痛みが消えてきたことで、急に眠気に襲われ、また目を閉じてしまった。
(つづく)
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