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白髪の鬼1

実際の平安時代の制度等と異なる点がございますが、パラレルワールドだと思ってご容赦下さい。

 鬼が鬼四と名乗って三か月が経った。この日鬼四は、鬼ヶ原神社の境内にある岩に腰かけて、一人酒を飲んでいた。月を眺めながら、この三か月で色々な事があったなと思い返す。毒を盛った犯人を見つけたり子供の遊び相手になったりと忙しかったが、一番思い浮かぶのは、時子の笑顔だった。


 芦原実継の件が解決してから、時子は毎日のように神社に顔を出している。鬼四の事をどう思っているかは知らないが、時子と話をするのは楽しい。たまに直通や光明が付いて来るのが鬱陶しいが、あの二人の事は嫌いではない。


 そろそろ社務所で寝るかと立ち上がった時、声が聞こえた。

「……やっと見つけた」

振り向くと、若い男性がいた。白髪を緩く束ねており、頭部からは角が二本生えていた。口を閉じて笑っているので牙は見えないが、間違いなく鬼だ。


 珍しく、時子が直通の屋敷を訪れていた。

「……もう一度言ってくれないか」

「ここ十日程、法眼様の姿が見えないのです。それで、心配になって。でも、どなたに相談すれば良いかわからなくて。まずは法眼様の正体をご存じの直通様や光明様にお話ししようと思い、伺いました」


 直通は溜息をついた。訪ねて来てくれたと思ったらこれか。最近、時子はあの鬼の事ばかり考えている気がする。ほぼ毎日あの神社に通っているようだし。

「……何か用事があって数日神社を離れているだけという事は?あの鬼がどういう生活をしているかはわからないが」

「そう考えて良いのかもしれませんが、嫌な予感が……」

「その嫌な予感、当たっているかもしれませんよ」

 障子を開けて、光明が入ってきた。


 光明の話によると、最近、貴族が数人行方不明になっているという。時子や直通にとっては初耳だった。

「それがあの鬼と関係があるのか?」

「……ある貴族が行方不明になる直前に、男と会っているのを見た者がおりまして。風が吹いた時に、会っていた男の烏帽子が取れかけたそうなんです。それで、その頭に……」

「まさか……」

 光明は、頷いた。

「角が生えているように見えたそうです」


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