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流されて帝国  作者: ギョラニスト
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49話


食事の後片付けも終え焚き火を囲み今後の予定を聞く。


この中で最年長のエランさんが説明してくれた


「明朝出発して東へ進みます。途中小さな湖で一泊、翌日の昼過ぎには到着できると思います」


「もっとブッ飛ばしたら明日の夜には着くんじゃないの?」


「ん〜二頭立ての馬車ですからそんなに飛ばせませんよ」


馬車は棺桶馬車を含めて全部で3台。


一台目にコニーさんとエアリーが御者台に、馬車の中は私達の荷物等が乗せられている。


二台目が棺桶馬車で御者台にアイラさん。

三台目の御者台にエランさんとヒューズ君。


馬車と言うより荷馬車に近い大きさで一体何が入っているのか…

三台目だけ三頭立てなのは荷物が重いからよね?


「ハイドン村ってアタシら行ってないんだけど、全部焼き払われてるってホント?」


アイラさんの質問に私とエランさん、ヒューズ君が目を合わせる。


「そうですね。石造りの家は破壊され木造の家は全て燃やされていました」


代表してエランさんが答えてくれて、あの何も無くなってしまった村を思い出した。


「アタシ達そこに行って、その後どうするんだ?」


「詳しくは聞いていませんが、ラッサ大尉と隊員の半分、ハイドン村の元住人数名とリシャール殿が行っていると聞いていますよ」


!!!


「え⁈ラッサ大尉とリシャールさんハイドン村に行っていたのですか?」


危険な任務をセラさんと殿下にまかせて?

一体何を?


「ええ、そう聞いています。何をなさっているのかまで聞いてませんが」


ハイドン村の元住人も行っていると言う事は、ハイドン村をどうにかしようとしているのかしら?


あぁもう!

殿下もハイドン村へ行って何をするのか教えてくれれば良かったのに。


結局その日はそれ以上の情報はなく棺桶馬車に戻り休む事になった。


翌朝エアリーが起こしに来て身支度を整えてもらう。

身支度と言っても軍服だけど。


慣れてくると軍服も楽で良いかもしれない。


最初は慣れないズボンに重い軍靴で大変だったけれど、着替えるのに時間はかからないし命懸けのコルセットが無いのは本当に楽だわ。


何だか軍服も板についた様な気もする。


私の身支度が整い少しだけドライフルーツを食べたらすぐ出発となった。


途中雨が降り出しスピードは少し落ちたけれど、2泊目の目的地まで夕方にはたどり着いた。


2日目の夕飯は具沢山スープとパンだ。

パンは少し硬くなっていたのでスープに浸して食べるんだとヒューズ君に教えてもらった。


うん、中々美味しい。


その夜は中々眠る事が出来ずベッドの中でゴロゴロしていた。


今頃殿下達も出発して野営をしている頃ね。


グレタはどうしているかしら?

マデリーン様にイジメられたりしていないかしら?


殿下にどんな変装を施したのだろう?


そう言えば結局テオドール村でもう一つの温泉施設を訪れる事が出来なかったわ。


どんなお湯だったのかしら?

同じ村だからきっと同じお湯に違いないわね


ハイドン村に温泉はあるのかしら?

そんな事を考えている内にいつの間にか眠っていた。



    ーーーーーーーーーーーーーーー



 出発する日の深夜の時間帯、この天幕は自分専用だが今は自分とナディアの侍女グレタと2人頭を抱えていた。


「殿下!普通の変装では殿下を隠す事が出来ません。どうやっても殿下になってしまいます!」


「そこを何とかしろ。その為にここにいるのだろう?この任務を無事達成したらナディアも喜ぶし特別報酬も出そう」


「…ナディア様…特別報酬…わかりました。大規模改修しかありません…」


「大規模改修?」


「はい。殿下、ありったけの柔らかい布と綿を用意して下さい!」


「わかった」


 言われた物を準備すると、その侍女はものすごい勢いで裁縫を始めた。


城の針子にも負けない手早さと丁寧さで。

こんなに優秀な手捌きで何故針子を目指さなかったのか…


一緒にいると侍女の具合が悪くなるので一旦退出し教会へ向かう。セラは執務室代わりの部屋で書類と格闘していた。


「セラ、こっちは多分どうにかなりそうだ。王宮の新しい情報はあるか?」


セラはフーと息を吐き疲れを見せた


「何もないね。あれっきり早馬もパタリと無くなったし。あっちで何も無いといいんだけど」


「一つ頼みがあるんだが」


「嫌な予感しかしないから、何も頼まないで」


「万が一俺が戻れない様な事が起こったら皆を連れハイドン村へ向かえ」


「何も頼まないでって言ったよね⁈何その何かありそうなフラグ!やめてくれない⁈」


セラはバンバン机を叩きだした


「ナディアの侍女がいなくなったらナディアが困るだろ?」


「…ディラン?」


セラは叩いていた手を止め怪訝な顔で見る


「指輪はナディアに預けた」


「はっ⁈なっ!何を⁈」


「エルザランは間違いなく王宮に戻っているだろう。他のヤツらはどうか知らんが」


「だからって指輪が無ければディランが!!それにナディア様だって!」


セラが掴みかかって怒り出す


「すぐに命をどうのとはしないだろう。指輪がどこにあるか聞きたいだろうからその間ちゃんと逃げる。


心配はいらない。ただ…」


「何でナディア様に⁈自分の身も守れないのに!1番危険になっちゃうじゃん」


「そうなんだが、アイツが持っているのが1番ありえないだろ。だから渡した。ハイドン村にはラッサと隊員が何名かとリシャールが行ってる。復興も少しは進んだだろう」


「…ナディア様知ってるの?」


「いや」


「最低…ナディア様が可哀想だよ。あと僕もね!!」


セラは掴んでいた手を離しは〜っと大きなため息をつく


「謁見の場に行ったら隊則でも唱えるか謁見の間の宝飾品でも数えてろ」


「でたよ。魔法使いに心を読まれない為の対策。

…この事知ってるの他は誰?」


「ラッサとリシャールだな。お前で4人目」


「何で2人共止めないんだよ。何この作戦…ディラン始めっから捕まる気だったんだろ?」


「いや、そのままお前と戻るつもりでいる。コレは保険だ。中立だと思っていたエルザランがあちら側に行ったのなら、こちらは何重にも対策を立てなければやられる」


「そうだけど、そうなんだけど…はぁ〜、それでハイドン村で一体何してるんだ?いい加減全部聞かせろ」


「知りたい事を中々教えないのは中々気持ちが良いな」


思わず笑みがこぼれる


「ぶっ飛ばすぞ。いいから早く言え」


「遷都」


「…は?」


2人の間に沈黙が流れる



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