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流されて帝国  作者: ギョラニスト
47/205

46話


「具合は悪くないのですか?」


「全然」


これはヒューズ君と一緒のパターンだわ。

具合は悪くないのに顔色が悪いって。


何かの流行り病かしら?

皆んなも同じ事を考えた様で


「これは…外に原因があると思っていいのかしら?」


「私達ほとんど外に出てませんもの。この2日間」


「では天幕や室内にいれば大丈夫と言う事でしょうか?」


「でも医師団の方たち顔色そんなに変わってなかったわよねぇ」


しばらく色々と活発に議論が交わされているけれど…


私は思わず立ち上がり天幕の外に出てみる。

何かあるのか出てみればわかるわね。


入り口を出て驚いた。

ここの天幕を中心に空き地になって、少し離れた所に他の天幕が張ってある。


私の重病説のせいかしら?あまり良い気分ではないけれど、静かに過ごせると言えば静かに過ごせる。


特に変わった所もない普通の景色。

空は相変わらず曇っていて、離れた所で人が行き交っている。


でもその人達の顔色はよろしくない。


「ほんっと懲りないね。ナディア」


「ア、アイラさん!ほんの少し外を見たいと思っただけで、決して1人で行動しようと思った訳では…」


「また懺悔室に連れて行かれるよ。ホラ早く戻りな」


いえ、今懺悔室はマデリーン様の私室になんて言える訳もなく再び天幕の中に連れ戻される。


「ナディア様。復唱10回では足りない様ですね?」


エアリーの貫禄が凄い。

オリビアさんを彷彿とさせる


「あの、ごめんなさいね。ちょっと外の空気を吸ってみたくなって」


「それで外の空気はどうだったの?ナディアちゃん」


「いえ、特には」


「空気が重いとか変な匂いがするとかは?」


何かコニーさんもアイラさんも怖い。

ちょっと外を見てみたかっただけなのに


「それも特には」


「やっぱり魔術絡みっぽいな」



「アイラさん外に出た時に空気が重いと感じたそうです」


エアリーが言う


「空気が重い?」


空気に軽い重いがあるとは知らなかった


「そう。一瞬感じたんだ。空気が重いって。最初気のせいかとも思ったんだけど外に出ている間どんどん重く感じて戻ってきたんだ」


アイラさんは続ける


「戻ってくる前に他の天幕に一度立ち寄ったんだけど、空気が軽く感じてこれは変だなと思って」


「それで何故魔術絡みになるのですか?」


「ナディアが何も感じなかったから。私がナディアを捕まえに行った時皆んなも入り口までは来ていたんだ。

その時皆んなは重いと感じていたって」


周りを見ると皆んなうんうん頷いている


「これは殿下に報告しなきゃだな。アタシちょっと行ってくる」


そう言ってアイラさんは飛び出す勢いで行ってしまった。


私は慌てて鏡を見る。

うん。何一つ変わっていない。


むしろ顔色など良い位だ


「これは魔力を持っている人だけが顔色が悪くなる魔法なのですか?」


「そんなくだらない魔法をかけたバカがいるなら焼き払うけれどどこにいるのかしら?」


コニーさんがいきなり物騒な事を言いだした。


「後々何かの影響があると考えるのが普通かと」


エアリーっていつでも冷静に考えてて本当に頼りになる。


「ある意味魔術絡みで良かったわ。私が単に鈍いだけだったら恥ずかしいじゃない?」


独り言のように言ったら皆んなが固まって愕然とした顔をした。


「え?ちょっと?どうかしたのかしら?」


「ナ、ナディア様。もう一度お外へ行ってみませんか?」


「え?」


有無も言わさず外へ押し出される。相変わらずの曇り空と天幕。もちろん空気の重さは感じられない。


いえ、言われてみれば重いのかしら?

1人悩んでいると皆んなの顔色がだんだんと変わってきた


「皆んな!顔色が」


皆んなの顔色が少し悪くなっている!


急いで天幕へ戻ると


「やはりナディア様だけ変わりませんね」


グレタが言うとコニーさんが


「良かったわ〜。ナディアちゃんの言う通り鈍いだけだったらナディアちゃんの顔色も悪くなるはずだもの。

本当良かった。殿下の所まで追加で報告しに行く所だったわ」


微笑みながら何て事を!


今のは私が鈍くないと言う証明でしたのね。

魔術ですよ。魔法のせいです!!


しばらくしてアイラさんが殿下を連れて帰ってきた。

何往復もして大変ですわね


「ナディアだけ顔色が変わらないとは本当か?」


「ええ。どうもその様です」


そんな事を言う殿下も顔色は普通と言えば普通だわ。

疲れや苦難やが顔に現れているけれど


「魔術が原因かこちらも測りかねていたんだがこれでハッキリしたな」


「では他の方も?」


「ああ。外が原因とは思って不要不急の外出はしないようには言ってあるが、外回りの警備の仕事もあるしな」


「ディラン殿下の顔色が変わらない様に見受けられますが、それは?」


「推測でしかないが、持っている魔力量の違いだろう。リシャールもいないから分からんが」


「顔色が悪くなる以外ないのでしょうか?」


「今のところ、はな。そんなくだらない魔法をかけるバカがいたら氷漬けにしてやる」


うわ。どこかで聞いたセリフ…


焼き払われた後氷漬けとかイタズラだったら代償が大きすぎる


「まぁ普通に考えれば顔色が悪くなるだけとは考えられないけど」


そうだとしたらこの後どうなるのだろう?

この後、顔色と具合か一致していくとか?


それはこの村内だけなのかしら?

そもそも顔色は治るの?

変な紫がかった顔色が一生だったら嫌すぎる。


「この後何らかの症状みたいなのが出るとか、後はマーキング辺りか?顔色で魔力の量を見るとか。

今のところ思い当たるのはそれくらいだな」


「魔力量がわかると何か変わるのですか?」


「そりゃあ…」


殿下は少し考えてから


「あぁ、そうゆう事か…」


何かしら、殿下1人で何かを解決した?

そして再び何かを考え込んでいる


「…よし。皆は旅立ちの準備をしておいてくれ。それから俺かヒューズ、サウルが来るまで誰も外には出るな。替え玉もダメだ」


ええ⁈温泉が…


殿下は言うだけ言って去って行った。


慌しい…




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