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流されて帝国  作者: ギョラニスト
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45話


その後殿下とサウル医師は帰って行った。


心なしか殿下は来た時よりもグッタリしていたように見える。


コニーさんが戻ってきて、私達はテーブルを囲み今後について話し合う事になった。


「アイラさんはこの後捜索隊に行かれるのですか?」


「いや、私もコニーもナディアの警護に専念するよう殿下からお達しがあったって」


「それにしても困っちゃうわよね」


大体の経緯を聞いたコニーさんはため息混じりに言った。


「結局ナディアは手薄な警護でヒルドンに行く事になりそう。あの後話し合いも無かったし」


アイラさんも少し眉間に皺を寄せ答えた。


「フレデリックまでいないんじゃ仕方ないか…それにしても他にも強そうな兵士沢山いるのに」


そうよね。

殿下隊もラッサ隊の人沢山いるのに何故かしら?

両隊員共信頼できる人達よね?


「きっと殿下のやきもちですわ」


はい⁈エアリー何を言いだすの⁈


「あら〜そうゆう事ね。ナディアちゃんを取られちゃうかもしれないって言う男心?」


「エアリーもコニーさんもバカな事おっしゃらないで下さい」


「もう…ナディアちゃんたら照れちゃって」


「違いますよ!そんなのではないです!」


「じゃあ何でだ?」


アイラさんの一言でその場が静かになる。

私にだってわからない。


 ただ人の心が読める殿下が信用していた部下達を信用できなくなったと言う事かしら?


兵士達が元老院へ寝返った?

何だか違う気がする。


会えば相変わらず気さくに声を掛けてくれるし。

ダメだわ。ちっとも分からない。


バスバスッ


「誰かしら?私出るのでナディア様馬車に乗って下さい」


エアリーが立ち上がりながら言う


「わかったわ」


なるべく急ぎ足で馬車に乗り込みカーテンの隙間からこっそり覗く。

あれはヒューズ君かしら?


「昼食お持ちしました」


「ありがとう。中に運んで下さる?」


 ヒューズ君の後ろからお盆を持った例の3人組が口元に布を巻き恐る恐る入ってきた。


 アレは伝染病を恐れてかしら?

顔色が凄く悪い。


3人はお盆をテーブルに置くと逃げる様に天幕から出て行った


「あ、おい!こら!」


ヒューズ君は3人を呼んだが行ってしまった様だわ。


「何かスミマセン」


そう言ったヒューズ君の顔色もあまり良くない。

伝染病を恐れている風には見えないのに


「後で器取りにきまーす」


そう言ってヒューズ君も出て行ってしまったので馬車から降りると


「ヒューズ君も後ろ3人組も物凄く顔色悪かったですね」


グレタが言うと


「井戸の水でも飲んだのかな?4人共って」


アイラさんが呆れた様に言った。


そう言えば井戸水はまだ飲んではいけないのよね?

皆んなどうしているのかしら?

川の水とか使っているとか?


「とりあえず折角運んでもらったので食事にしましょう」


エアリーがテキパキ動きだしたので全員で準備をする。

もちろん私も


「ナディア様は座っていて下さい」


エアリーに言われ


「もう元気だから大丈夫よ。手伝うわ」


「ナディアちゃん。邪魔しちゃダメよ」


「はい⁈」


「ナディア、コニーの言う通りだよ。はいココに座る」


アイラさんに座らされた。

ヒドイ!手伝いくらいできるのに。


 プリプリしながら座っているとテーブルに食事が並べられる。


 塩漬けされた肉らしきものと豆が入ったスープ、パンにドライフルーツ。

あら?急に質素になっている。


「何って言うかザ・野営食だな」


「そうねぇ。今朝までそんなでも無かったのに」


護衛2人が言う。

ヒドイ…私の食事は今朝まで病人食だったのよ


昼食を心待ちにしていたのに


「とりあえず召し上がりましょう」


グレタが言い皆んなそれぞれの席に着く。


 普通だったら私の食事を侍女が用意してくれて1人で食べるのが普通かもしれない。


 だけど私が食べ終わった後4人で食事しているのを見ていたら、寂しい気持ちになってきてそれを訴えて今に至る。


皆んなで頂く食事はなんとなく美味しい気がするもの。


話題はもっぱら今日の昼食の質素感


「まぁ野営食だと思えばこんなもんだよな」


確かに天幕で食べているのだから野営食と言えば野営食


「ラッサ隊の方々一部戻ってきているのでしょう?食事作りは手伝わないのかしら?」


コニーさん不満そう。

私もだけど


「ラッサ大尉別の任務に行っているとおっしゃっていたので皆さんで行かれたのでは?」


おお!エアリー凄い推察力。


「別の任務って何だろうな?」


アイラさんはドライフルーツを口に放り込みながら言うとコニーさんが


「料理…かしらねぇ」


そんなバカな…きっと何かしらの任務についていると思いたい。

きっと…多分…


そうこうしている内にヒューズ君が空いた器を取りに来た


「食事終わりましたか?」


「ええ。食器はここに。それより顔色があまり良くないけれど大丈夫ですか?」


エアリーが尋ねている。

私は馬車から覗いているだけだけど


「何かそう言われてるんだけどよくわからないんですよ。俺に言わせれば他のヤツの方がよっぽど顔色悪いんだけど」


敬語使っていて偉いわ。ヒューズ君


「まぁ、他の方も?」


「そう。兵士も村人も。何なんだろう?」


この村にいる人皆んなが皆んな顔色悪いとか変ね。

この天幕内はそんなでもないのに


ヒューズ君は食器を3人組に片づけさせて去って行った。

何だか3人組への対応も随分板について来た様で良かった


「アタシちょっと外の様子見てくる」


アイラさんはそう言うと外に出てしまった。

グレタが

「ナディア様温泉施設行かれます?私そろそろ用意しますね」


心なしかグレタがウキウキしている様にみえる。

何かに目覚めたのかしら?


「どうせ行くならばもう一つの温泉施設に行ってみましょうか?」


エアリーが声かけてきた。

もう一つの温泉施設?そう言えば最初に言われた気がする。

2つあるって


「ええ!折角だから行きたいわ」


いつになるかわからないけれど、近い内ハイドン村に行ったら当分戻って来れ無さそう。


少ししてアイラさんが戻ってきた


「アイラさん⁈」


顔色が悪い。

突然悪くなっている顔色に皆んな驚いていると


「ん?何?」


至って普通のアイラさん


「顔色が…」


「え?」


アイラさんは鏡がある所まで行き


「うわっ!キモっ!何この顔色」


自分の顔を見て驚いていた。



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