26話
スミマセン!ちょっと短いです。
私が目覚めたら殿下の所にも連れて行くよう言われていた様で4人で教会へ向かう。
一応本拠地になっているそうだ。
村長さんが怒るのも分かる様な気がするわね。
教会まで後どのくらいかしら?
この村は道幅も広く家と家の間も広目に取られ花等が植えられている。
普段は長閑で穏やかな村なのだろうと感じさせられるけれど、今はこの広い道幅も広目の家と家の間も憎らしく感じる。
何故なら私の足腰は既にプルプルし始め更に靴が重くなった気すらしてくる。
「教会まではあとどのくらいかしらね?」
平静を装い聞いてみる
「ナディア様、まだ半分も来ていませんわ」
和かに微笑みエアリーが言った。
何ですって⁈こんなに歩いているのにまだ半分にも満たないなんて。
先程まで頑張ろうと思っていたが、既にどうしたら歩かなくて済むかで頭が一杯になってきた。
キャシーとか通りかかってくれないかしら?リシャールさんでもいいわね。魔法で飛ばして頂きたい。
結局誰が通りかかるでもなく教会まで来てしまった。
辛い。
もう足腰が只事ではない気がするわ。プルプルを通り越してブルンブルンしている。
扉を開け殿下を探す。
もう一歩たりとも歩きたくない。早く座りたいのよ。
殿下!どちらにいらっしゃるの⁈
人が沢山いて中々見つけられずにいると
「ナディア様、こっちです。ディランが待ってます」
セラさんが人をかき分けやって来た。
ゾロゾロと5人で祭壇横の扉から出て廊下を歩き別室に入ると殿下を始めリシャールさん、フレデリックさんがいた。
「揃ったか。とりあえずみんな掛けてくれ」
ふぅ、やっと座れる。
「まず、最初に言っておく。ここでこれから話す内容は他言無用だ」
…まだするのね。私のいる所で大事そうな話
「まずナディアなのだが、魔力がない」
あら?その話?
私の考えとは裏腹にセラさん、フレデリックさん、アイラさんが絶句した。
…私に魔力が無いのは絶句する程の事なの?
「ナディア、一体今までどうやって生きてきたんだ?」
アイラさんが真顔で尋ねてきた
「どうやって、と言われましても…シャナルでは普通の事でしたので」
「え⁈シャナルではみんな魔力が無いって事⁈」
今度はフレデリックさんが聞いてきた
「はい。無かったですよ。みんな」
「僕は聞いた事がある。シャナル王国は魔法が無いって。
でも、今の今までそんなデマが飛び交う程の国なんだって認識だったんだけど。
だから殿下と一晩一緒でも何ともないのか…」
⁈
ちょっとセラさん何言いだすの⁈エアリーとグレタが
「まぁ!その様な事に?」
「何ておめでたいのでしょう」
違う!断じて違う!
一晩一緒に過ごしたけれど、話をして固い握手を交わしただけよ!
「そう言う事だ」
ちょっと殿下⁈
エアリーとグレタがキャーと小さな悲鳴を上げた。
殿下は2人の悲鳴を訝しげに見ただけで話を続けた
「ナディアはこの国では1人で生きて行くのはほぼ不可能だ。普段は俺がなるべく一緒にいる様にはするが、それが出来ない場合はコレを頼む。
今の所ここにいるメンバーしか信用できる者がいない。後はラッサ隊辺りしか心当たりがないが、いつ合流できるかわからん」
殿下!否定が先ではなくて⁈
そして信頼できる人が少なすぎる。
人望無さすぎですわね
でも…心を読んだのよね?きっと。
だからこの人数なのに違いない。
「アタシはいいのか?…ラッサ隊の人間でもございませんが」
アイラさんが殿下に尋ねた。言葉遣いが何だかツラそう
「アイラ・マイルセン、其方の噂はコニー・ハミルトンと共によく耳にしている」
まぁ。コニーさんも凄い人?
「確か入隊してすぐ揉め事を起こし隊員の宿舎を半壊…だったか?」
殿下はセラさんに確認を取る。
「ええそうです。その後も揉め事を起こしてはどこかしらを半壊、及び全壊させていますね。」
え?アイラさんとコニーさん問題児?
「ただ全て理由があり、相手の方が悪いとなっていて2人に処分は一切行われ無かった模様です。
その代わり2人はどこの隊に配属になっても恐れられている。と記されていますが」
紙を捲りながらセラさんは言った。
「俺もこの報告書は目を通した。まぁアレだな。やり過ぎと言えばやり過ぎだが理由は概ね弱者を助けたとなっていた。
ナディアはこの国では最弱と言って間違いないだろう。どうだ?信頼するに値すると思ったんだが」
最弱⁈
「いえ。納得できました。必ずナディア様をお守り致します!」
アイラさんは張り切って返事をする。
私の最弱は誰も否定してくれないの⁈
魔力位無くても普通に生活はできますのに!
「次にそのラッサ隊だがそろそろ塀の周りに集まっている頃だと思う。
多分ラッサ以外の隊員は大隊の奴らに紛れ込んでいるだろう。
ラッサも変装くらいしていそうだが、顔を知られ過ぎているからどこかに潜んでいる筈だ。そこでフレデリック、リシャール」
「ハッ」
「え?」
「塀の外へ行く。一緒について来い」
「はい」
「えー」
「セラは引き続き村長との交渉と、先程説明した場所へ連れて行くメンバーの選抜、資材の調達、その他の雑用を頼む」
「え?僕の仕事多くない?」
「最後にナディア。俺がいない間アイラと侍女から絶対離れるな。馬車に篭って過ごせ」
「はい?」
「何か質問は?」
「えー横暴だよ。年長者をもっと、こう…大事にだね…」
「私子供ではございません。1人になりたい時だって…」
「仕事多い!仕事多い!仕事多い…」
「なければ以上だ!」
文句を言っていたのは私とリシャールさんとセラさんだけだけど殿下は誰の言葉にも耳を貸さないで決定を下した。
独裁者ってこうやって出来上がるに違いない!
結局決定は覆らずそのままお開きとなった。