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流されて帝国  作者: ギョラニスト
182/205

182話


「全部吐け」


 中央に正座をしたノアさんを全員で取り囲み尋問をする殿下。


「はい。私は最初にスパイ仲間がいる町一番の酒場へ行き、今マッサーラがどの様な状態か把握することにしました」


 小さくなり正座するノアさんは反省しているようだ


「で?」


「そこで私はエール3杯と鴨肉のロースト、野菜と豆のスープに川海老の揚げ物などを頼みスパイ仲間と歓談しました」


 はい!?私達がお腹を空かせて待っている間に飲み食いに歓談!?


「はぁ〜…お前の事はよくわかっている。ノア、頼むから要点だけ話してくれ」


 殿下に言われた途端、ノアさんはニィっと笑い


「何だ反省してる風はダメだったか」


 言うなり足を崩し砕けた口調になった。一体何なのかしら?この人は。腹立たしい


「続々と集まってきているらしい、このマッサーラに。コバネルを始めこの辺の属国は勿論アリアステのお偉いさんまで来てるって話しだった」


 アリアステ!ではやはりコーデリアさん達を拉致したのは…


「一体何の為に集まってきたんだ?」


「それがなぁ…聖獣が現れたって話しが流れてるらしい」


「「ええっ!?」」


 それはどうゆう意味?ぷっぷちゃんの事を指しているの?それとも他に聖獣が?


 ノアさん以外の全員がバッとコーデリアさんを見る


「いや、そんなに見られても…」


「巫女殿、俺が知らないだけかもしれないけど、今までどうやって聖獣って認定されてきたんだ?」


 殿下から知性っぽさが!言われてみたら今までどうやって聖獣は聖獣と認められてきたのかしら?


「ここ何百年アリアステに聖獣が現れ認められるまでは、オルストから巫女がやってきて二言三言話をして、となってはおるがいかんせん体験した事ないから…」


 それはそう。そうなのだけれど…


「あのぅアリアステに現れるまではオルストと言う事は、今はアリアステにも巫女様がいらっしゃると言う事ですか?」


 てっきりコーデリアさんしか見分けつかないのだと思っていたわ。


「そうね。今現在オルストには3人、アリアステには8人程いると聞いたが」


そんなに!?それはもしかして名乗った者勝ちとかにならないのかしら?


「今までもそんなにいらっしゃったのですか?」


「まぁ大体」


 …何か適当じゃない?


 聖獣って本当にいるのかしら?その時の巫女様が頭の中で会話した気持ちになって認定されたなんて事だってありえない話じゃないわよね?


 途端に聖獣も巫女様も胡散臭い存在になってしまった。それだったらウチのぷっぷちゃんの方がよっぽど聖獣っぽいじゃない。可愛いし


「ふふふ、胡散臭いと思っている?」


「えっ!?いえ、そうゆう訳では…」


 いけない。顔や態度に出てしまったかしら?


「言い伝えでは昔は誰にでも一目で分かったらしい。権力や利益が絡んでくると人の目も曇ってくるのでしょう」


 一目で?一度胡散臭いと思ってしまったせいか、全く信じる事ができない


「一目で、となると見目が良いとか毛艶が良いとかになったりしないのですか?」


「あはははっ。ネズミや象に見目も毛艶もないでしょう。そうじゃなくて…」


 コーデリアさんは目に涙を浮かべ笑っている


「何か感じるものがあったと思うのよ。大昔は皆んな会話ができたと言うわ。7〜800年程前からそれもなくなったらしい…ナディア様が疑うのも仕方ない事でしょうね」


「え?いや、疑っている訳では…」


ごめんなさい、疑ってます。思いっきり…


 気まずい雰囲気の中更なる爆弾を投下したのはノアさんだった


「あ、あとね、何つったかな?チャペル?シャベル?って国の王族も来てたらしいよ。ナディア様の出身の。で、娼館から誰かがつけてきてるぜ」


!!シャナルから!?

!!つけられてる!?


「おいノア、それは本当か?」


 立ち上がった殿下が問い詰めると


「うぉ!な、何だよ急に。娼館の何とかちゃんがここだけの話っつって教えてくれたんだよ。詳しくは覚えてねぇけど」


「あほぅ!ちゃんと思い出せ!後、つけてきたヤツちゃんと撒いたんだろうな!?」


 ノアさんの首根っこを掴みガクガクさせる殿下に


「勿論撒いたよ。ただこの辺り宿屋はここだけだからバレてっかも。後ね、娼館のほうは、えっと、胸が大きくて、ふくらはぎがいい感じの柔らかさで足首がキュっとした…」


「違う!そっちじゃなくて、シャナルの王族の方だ!誰だ!?」


「ええっ?覚えてねぇ〜…娼館行った時にはすげぇ疲れてて早く癒されたかったから」


 腹が立つわ。疲れているのは私達も一緒よ!


「最低な男じゃの」


「同意するわ」


 ほら、ウィンディアさんもコーデリアさんも同じ意見じゃない。


「どこの娼館だ!今から行って聞いて…いや、別に客として行く訳じゃなく、あくまでその何とかちゃんに話を聞きに行くだけだ!そんな目で俺を見るな!」


 女性3人の冷ややかな視線を感じたのか、殿下が慌てて言った。


 慌てている時程沢山喋ってしまうのが男の人よ、と教えてくれたのは母上だったかマティーニ王妃様だったか…


 とりあえず夜が明けてから娼館へ行ってみようとひとまず休む事になった。寝支度をしているとコンラッドさんが


「胸が大きくて、いい感じの柔らかいふくらはぎか…」


 と呟いたのを私は聞き逃さなかった。


 ここにも最低が1人いる。


 とりあえず私はベッドに入った。何も聞かなかった振りをして。


あぁ…全部聞かなかった事ならないかしら?ここでシャナルの名前を聞く事になるなんて




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