178話
ノックの後入るとショーンさん、ハリーさん、リシャールさんが既にいた。この3人がきっとコバネルに行くメンバーね。
「「「おはようございます」」」
「おはよう」
「ナディア、おはよう。ぷっぷは…目覚めているな。じゃあ始めるぞ」
殿下は掛け声と共にテーブルにバッと地図を広げ、行くのはここでと何やら作戦会議が始まった。
10分ほどして3人はそれぞれごっそり荷物を持ち部屋の真ん中に立った。
「じゃあナディア、ぷっぷに頼んでくれ。頼んだ後俺達は隣の部屋に行く事になっているから」
良かったわ。いくら言って聞かせても同じ部屋にいたらうっかり私まで飛ばされかねない。
「ぷっぷちゃん、いい?」
地図の一点を指差し
「ここはコバネルと言う国。ここにコンラッドさんやウィンディアさんがいるかも知れないから、この場所に3人だけ飛ばして欲しいの。ぷっぷちゃんは私の所にいるのよ、できる?」
「ぷぷっぷ〜」
凄いわ、ぷっぷちゃん理解してるわ。
「よし。3人共頼んだ。3人をコバネルから救い出してくれ。もし違う所に飛ばされても無事に帰って来るように!」
「「はい!」」
「ハァ〜〜」
2人は決意を秘めた目で返事をした。約1人明らかに嫌そうなため息はもちろんリシャールさんね。
私達が部屋を出ようとすると
「ぷぷっ」
振り返るとぷっぷちゃんと目が合った。心なしか自信に満ちた目をしている。何だか上手く行く気がするわ
「ぷっぷちゃん、また後でね」
言いながら殿下とノアさんと部屋を後にした。
どうか上手くいきますように…ウィンディアさん、コンラッドさん、巫女様が無事ドレナバルに辿り着来ますように…手を組み祈っているとパァっと光った。私達のいる部屋が
え?
覚えのある目の前が歪み手足がすっと冷たくなる感覚…手足に血の巡りを感じて恐る恐る目を開けると、殿下とノアさんと目が合った。
カビと饐えたような匂いが鼻につく。
嫌だわ…とても嫌な予感がする。もしかして私達が飛ばされた?ここは…
「なっ!なっ!?」
声のする方を見ると片隅にコンラッドさん、そして美しい老人が2人。
手足を縛られ頭に輪っかの様な物が乗せられていて、石で囲まれた部屋に木でできた扉の上の方は鉄格子…
ここはまごう事なく牢屋の中。
「何でいきなり!ってかどうやってここに!?」
動揺するコンラッドさんの口をいきなりノアさんが塞いだ。
「むーむー」
「静かに。誰か来てるぞ」
コツコツコツコツ
複数人の足音が近づいてきて私達のいる牢屋の前で止まった。
ノアさんはコンラッドさんから手を離し、殿下は私を抱えそれぞれ扉の横、死角になっているとこに張り付いた。
「何を騒いでいる!」
「あ〜スマン。トカゲがいきなり出てきたもんで驚いて」
「傭兵王がトカゲに驚かされるたぁいいザマだな!あと少しで食事だ。それまで騒ぐんじゃないぞ」
足音が遠ざかりコンラッドさんの視線の先を見ると、やっぱり蹲り眠るぷっぷちゃんが…
殿下とノアさんは手分けして3人の手足のロープを外していく。私はぷっぷちゃんを抱き抱え座っていると
「どうやらぷっぷは俺達を飛ばしたようだな。しかもピンポイントでここに」
殿下が言うと
「何で殿下がここに来るんだ。親玉は普通指示出すだけだろ。少数精鋭とかで」
コンラッドさんが小声で文句を言う。私達は最初からそのつもりだったのだと文句を言おうとしたら
「大体ぷっぷ連れてきちゃ一番ダメだろ!この嬢ちゃんだってここに連れてきてどうするんだよ!足手まとい以外何もんでもない。俺達を助ける気あんのか!?」
ヒドイ!わかっているけどヒドイ。私だって来たくてきたんじゃない!と叫びそうになる前に髪の長い美老人が
「コンラッド、声を落として。ひとまず話しをするのが先でしょう。はじめまして、コーデリア・パーカーと申します。オルスト神聖国の巫女をやっております」
この人が巫女様…