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流されて帝国  作者: ギョラニスト
133/205

132話

今回も殿下回です


 外套を羽織り扉を開けると雨はみぞれ混じりとなり、横風が強まってきていた。


 一応出入り口にいた兵士に一言言って歩き出そうとすると


「殿下とショーンの2人だけですか?」


 ショーンはこの隊で新人だからなのか、兵士は胡乱な目でジロジロショーンを見ている


「あぁ。すぐ戻る。心配ない」


「殿下〜やっぱり止めませんか?俺が悪うございました。殿下の溢れ出る魔力を吸収する魔道具を最速で作りますから〜」


「あぁ、帰ったら頼むよ」


「えー!これじゃ雪中行軍…」


 後ろでブツブツ文句を言ってるショーンを無視して厩へ向かった。


「キャシーはいるか?」


 厩番に聞き中へ進む。


 こんな天候な日はキャシーに限る。どんな天候次第でも…


「ブヒン」


 キャシーは機嫌が悪いのか顔を背け全く動く気配もない。


「ほら〜、馬ですら嫌がる天候ですよ。やめましょうよ」


「別の馬で行く。鞍の準備を」


 キャシーのヤツ一体何なんだ。腹立たしい。


 厩番に準備をしてもらった後はひたすら泉を目指す。


 みぞれ混じりの雨はすぐに雪に変わり、泉のある林に辿り着く頃にはうっすら積もり始めていた。


 違和感は林に入った途端に肌で感じ取れた。明らかに俺の周りに漂う魔力は減っていき、ショーンは馬上でガクガク震えだした。


「で、殿下…寒いんですけど」


「あと少しだから…」


 寒い?暖かい空気を纏わせるくらいショーンなら…バッと振り返ると雪に負けないくらい白い顔色のショーンが歯をガチガチ鳴らしていた。


「いや、お前はこれ以上行くな。スマンがちょっと待っていてくれ。泉に行ってすぐ戻ってくるから」


 おそらくショーンの魔力はほぼなくなってきているのだろう。


 ウィンディアの話では魔力が多い程影響はデカいらしい。


 魔力が多ければ多い程知らない内に勝手に魔力で身の回りを快適にしてしまうから、快適さに慣れている者程ここでは堪えると言う事か


「嫌ですよ。ここで待っててウッカリ殿下がこけて擦り傷でも作ろうモノなら、俺兵士達にどんな目に合わされるか。」


コイツは俺がコケるとでも思っているのか…


「なら…」


 ショーンに暖かい空気を纏わせた。連れ回したがために凍死されたら寝覚めが悪い。


「お?おぉ…殿下、初めて尊敬しました。ありがとうございます」


 コイツ…


 ショーンの事は無視して馬を急がせる。すると薄暗い中やけにキラキラとした泉が目に入った。これが聖なる泉に違いないと近づくと


「殿下、本当に吸われる気ですか?」


「何だ今頃」


 いつも身体の中から湧き出てくるモノがあった。


 物心つく頃にはそれが身体から溢れてきていた。


 止めようもないソレは周りの人達を苦しめるだけで、大量に魔法を使ってもクラクラするくらいで減る事なんて無かった。


 ぷっぷを握る以外は。


 今目の前にある泉はソレを無くしてくれるモノなら触らない手はないだろ。


馬から降り泉にそっと指先で触れる


「殿下!?」


 瞬間目の前が真っ白になり泉から何かが湧き上がった所で意識を失った





気が付くといつもの自分の寝台、いつもの天井


「ディラン!?気がついた!?」


「セ…ラ?」


上手く声が出ない。何だ?身体が重い。ダルイ。腹が減った…身体が思う様にならない


「皆んなを呼んでくるからちょっと待ってて」


 クソッ、一体何が…待てよ?俺は聖なる泉へ行き、そこで?何かあっただろうか?あの時…


「ディラン〜〜!!良かった〜」


 人がせっかく何かを思い出そうとしている時ベッドに突っ込んできたリシャールは半泣きになりながら抱きついてきた。


「リシャール、俺に何があった?」


「こんなに細くなっちゃって〜!こんなにみすぼらしくなるなんて〜」


 細い?みすぼらしい?過去にそんな事を言われた事はない


「おいリシャール。落ち着いてくれ」


 リシャールの後ろからラッサとセラも入って来たが、皆んな可哀想な目で俺を見る。


 何なんだ…重い身体を起こしベッドから出ようとすると


「ディラン!無理するな。トイレか?肩を貸すから!」


 リシャールがすかさず俺の腕を肩にかけ歩きだす


 本当に身体が重い


「トイレじゃない。鏡が見たい」


リシャールの手を借り姿見の前に立つ…


「誰だ?これ…」


 顔は俺だが、首から下が細っそりしていて気持ち悪い。


「殿下、ご無理なさらないでください。殿下は聖なる泉で意識を失いショーンが命からがら連れて帰ったのです」


 ラッサの説明にそう言えばショーンも一緒だった事を思い出した。


「ショーンは?」


ベッドに戻り尋ねると


「ショーンは無事です。相当消耗してますが、連れてきますか?一応簡単な説明は受けたのですが…」


「いや、いい」


 そうだった。俺は聖なる泉に手を突っ込んで意識を失ったんだ。


「俺の魔力は今どうなってるんだ?泉に手を突っ込んだ所までは覚えているのだが」


「…ぃです」


「は?」


「殿下の魔力、今全然無いです」


無い?魔力が?


「戻るのか?」


「…わかりません…」


 誰もそれ以上喋る事はなかった。


 細くなった腕を見て


「何で魔力が無くなると痩せるんだ?」


 意味がわからなくて誰にともなく聞くとリシャールが答えてくれた


「あ〜、多分ディランは魔法も使うけど、剣を振ったりもしたから無自覚に筋力も魔法で強化してたんじゃないかな?多分だけど」


 ボスッと枕に身体を預けた。


 何て事だ…今の俺は魔法も使えない上、剣も振るえないとは


以前申し上げた登場人物、結局年度内にもできませんでした。スミマセン。近い内にやりますm(_ _)m

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