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流されて帝国  作者: ギョラニスト
120/205

119話


「…どうゆう意味だ?」


以外にも一番怒りそうな殿下は冷静に尋ねた


「どうゆう意味も何も…このご令嬢、そこの兵士できてるぞ。そんな事も気づかず俺のだなんて主張しちまうなんて間抜けの極みだろ」


!?!?!?


 いきなりとんでもない爆弾を投下したコンラッドさんは、ニヤニヤしながら私とフレデリックさんを交互に見てくる


「ち、違います!あの時はあなたとっ!コンラッドさんと二人きりはマズイと思って…」


 フレデリックさんが慌てて言うので、私も負けじと誤解を解きにかかる


「そうです!フレデリックさんは気をきかせて、あの様に言っただけで本当は…」


「じゃあ、あの時天幕の中で覆い被さっていたのは何なんだ?こっち来る時だって馬車で一体何を…しかも面白い屁まで…!?」


ゴツン 


 コンラッドさんは最後まで言う事もできず、頭を踏みつけられた。


エアリーによって。


「それ以上ナディア様を侮辱する事はおやめください。ナディア様はそんな不誠実、かつふしだらな令嬢ではございません!」


 足首のスナップを利かせ、軽快に踏みつけるエアリーが無表情で更に恐ろしい。


 だけど…ナイスだわ。エアリー!コンラッドさんが何を言おうとしたか察した私はドキドキが止まらない。


「あだっ!いだだだっ!」


大男な上強靭な身体を持つコンラッドさんが兵士4人に取り押さえられているとは言え、か弱いメイドに頭を踏みつけられ悶絶しているのはいい気味…ではなく少し可哀想に思えた。


 そんな勘違いをさせてしまったのは明らかに私達のせいですもの。


「エアリー、もういいわ」


「まだ足りません。グレタを呼んで全ての毛穴を塞いでもよろしいのですよ?」


「ヒィ」


離れた所からセラさんの悲鳴が聞こえた。


「違うのよ、コンラッドさんを誤解させたのは、私とフレデリックさんでそう思わせていたのです。ね?フレデリックさん」


「は、はい。覆い被さっていたのはぷっぷ殿を隠す為。ナディア様が顔を赤らめていたのはヨダレ跡があると指摘した為です。そもそも僕とナディア様はその様な関係ではなく、コンラッドさんと2人きりは良くないと思ったからです!」


!?ヨダレの事を明かす必要ある!?

言わなくても良くなくって?


 私は恨みを込めてフレデリックさんを睨んでいるとコンラッドさんは


「まぁ…皇太子の婚約者がよそ者と2人っきりは良くないな。ちなみに、ぷっぷ?ヨダレは、まぁ恥ずかしくて顔が赤くなるのは分かるが、ぷっぷを隠すって何だ?」


「天幕の中にいた時、服の中からこのぷっぷちゃんが顔を出したのです。ちなみにぷっぷちゃんは…」


 ぷっぷちゃんの説明をしようとして、ふと考えた。


 ぷっぷちゃんて何かしら?


 最初魔物だと思われて従魔の契約をしたと思いこんだけれど、ウィンディアさんは魔物ではないかもって言っていた。魔物は聖なる泉で泳げないどころか、近寄る事もできないらしい。


 それならば…ペットかしら?悩んでいると


「その黒いヤツ…魔物か?まさかそれがお前らが言うぷっぷなのか?」


「魔物か、と聞かれるとちょっとよくわからないのですが…この子がぷっぷちゃんで間違いないです」


そう答えるとコンラッドさんはしばらく黙って考えた後


「ディラン皇太子、先程は侮辱してしまい申し訳なかった。大切な話がある。探し物の話もしたいから人払いを頼みたい」


突然恐縮しながらコンラッドさんが言った


「全員か?」


「なるべくなら2人で」


殿下は周りと目配せし


「それはできんな。だが一般兵は退出させよう。それでいいか?」


コンラッドさんは黙って頷いた。


 一般兵を退出させるより殿下達が移動した方が早いとなり、場所を変えようと移動し始めた。私はエアリーとその場に留まっていると


「ナディア、何をしている。早く着いてこい」


ええ?私は関係ないのでは?

コンラッドさんの探し物に興味はなくてよ。そして何より休ませて欲しいのに


 仕方なく着いて行くといつもの殿下の執務室に通された。


 引かれた椅子に腰掛けると、その場にいたのは殿下、コンラッドさん、ラッサ大尉、セラさんと私の5人。ちなみにラッサ大尉はコンラッドさんを監視する為か背後に立ち目を光らせている。


「先程は失礼な事を言って申し訳なかった。そちらのナディア嬢も助けたとは言え、失礼な振る舞いを詫びる」


頭を下げ改まって謝られたら許すしかないではないの。ただ、他の事はともかくオナラの件だけはこのままにして置く訳にもいかないので


「許します。でも、オナラはしていませんからね?あれはぷっぷちゃんの鳴き声なだけですから」


 私はさして大きくもない瞳に力を込め話した。


「そうだったのか。では、それも重ねて謝ろう」


ホッとした


 一番解かなければならない誤解が解けて、心底安心していると殿下が口を開いた


「さて、コンラッド・パーカー。まず最初に礼を言おう。我が婚約者を助けてくれた事感謝する」


「有り難きお言葉、痛み入ります」


 そう言ってコンラッドさんは頭を下げた。

 

 こうして見ていると当たり前だけれど、殿下は王族然としていて、どこからあのような噂が流れたのか疑問に思う。


 コンラッドさんもその空気を感じ取ってか平身低頭で返事をする。


「して、コンラッド・パーカー。貴殿は何を探しにこの国へ?」


「はい。殿下は…この大陸にあるオルスト神聖国を耳にした事は?」


「昔からあり迫害を受け大陸中転々としていると聞いているが、関係が?」


「はい。このオルスト神聖国は今この大陸の北東部に拠点を置いているのですが、神託が降りたのです」


 聞いた途端殿下は眉間にシワを寄せ


「俺は人の信仰をとやかく言う気は無いが、その神託を信じてドレナバルに来たと言う事か?」


「あ、誤解が無い様に。私は依頼を受けただけです。私の父はこの国出身なので、ウチの傭兵団に白羽の矢が立ったのでしょう」


「父君はドレナバル出身なのか」


「ええ。そちらにいらっしゃるセラ・パーカー殿の親戚です。お会いするのは初めてですが」


ええっ!そうなの!?



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