第1~2章の登場人物
☆☆☆主人公と仲間たち☆☆☆
◯エリザベータ
この物語の主人公。本名、エリザベータ・エル・ラヴェリア。愛称はリズ、リーザ等。本人としては、愛称に深いこだわりはない。
紛れもなくラヴェリア聖王国現国王の実子だが、毋親の身分(高級娼婦)を理由に追放され、次期王位継承競争の標的になった。
海外へ出ようと考えて港町トーレットに訪れるも、事件性の疑いが濃い爆破事故によって港が閉鎖。
この事態に祖国の影を感じ、トーレットで蜂起した革命に参加。自ら進んでリーダーシップをとることはなく、あくまで協力者としての立場から仲間を支え、革命成就に貢献した。
過去の経緯から読書好き。好奇心と知識欲が生命線でもある。
※レガリア:《叡智の間》
レガリアとは、大昔の英雄の血を引く者に発現・具現化するという、一種の魔道具のようなものである。
《叡智の間》はリズのレガリアであり、彼女の精神世界にある大図書館である。
他のレガリアに倣って、彼女はだいぶ仰々しい命名をした。主な特徴は以下の通り。
・起きてるときにも寝ているときにも、精神をダイブさせて利用できる精神世界。
・夢のような世界だが、現実の諸法則には忠実。夢の中で死ぬと、現実世界で目が覚める。
・現実世界で魔導書等からリズ自身に転写した情報の、取り込み先となっている。情報を取り込んだ時点では、まだ読んだことにはならない。自身の知識とするには、意識的に読むプロセスが必要である。
いわば、ほぼ無限大の積ん読書庫。
・大図書館内に設置された姿見は、リズの分身を出現させる。分身に本を読ませても、本体には反映されない。
しかし、練習相手としては好適である。
《叡智の間》と現実世界とのやり取りは、魔法陣を介した情報上のものに限定される。
よって、見るからに強力な宝器という類のものではないが、リズ本人の力を大きく成長させている。
また、その性質上、リズしか存在を認識できないレガリアのため、情報戦における安全性も高い。
インチキ。
※《インフェクター》
第四王女ネファーレアが遣わした刺客であり、歴史上の大事件を引き起こした魔剣。リズの手で鹵獲された。
意志ある宝物であり、刀身から音を放って話す。宿る人格は尊大。
魔神アールスナージャとの戦闘においては、打ち負けないための武器として勝利に貢献。
強烈な魔力を刀身に刻み込まれると、一定期間ろれつが怪しくなる。
◯アクセル・リスナール
ルグラード王国ハーディング領の元伯爵直属だったという諜報員。
魔法に反応しないという、超特異な体質の持ち主。魔力を持たないか、外界の魔力と相互作用しないものと考えられる。
――周囲はそう考えている。
しかし、実際には革命最終段階で伯爵と初対面であった。
それに、魔力を使えないわけではない。リズたちには隠している。
◯マルク・ルチアーニ
ルグラード王国クレティーユ領の元諜報員。
モンブル砦確保の際、他勢力の諜報員たちも交え、リズと交戦した。
室内戦のエキスパート。現場で戦いつつ、別所で動く部下を指揮する能力もある。
ただ、相手が悪かった。
◯ニコレッタ・ローレン
眼鏡姿で、目立たない容姿の少女。海外の商業国カトマイアからの諜報員。
どこにでもいそうな、相手の意識に上らない見た目をベースに、変装と演技で自然と紛れ込む。
よって、潜入と奇襲が得意だが、本人の性格は控えめでおとなしい。
☆☆☆ラヴェリア王室及び関係者☆☆☆
◯バルメシュ・エル・ラヴェリア
現国王。覇権主義国家として長く存続してきた聖王国にあって、彼は大きな争いを起こさずに統治してきた。国の内外を問わず、名君として認識されている。
今では政治的判断を後進に委ね、自身は諸々の公務に関わる程度に留めている。
当代の継承競争においても、実子らに何ら干渉してこない。
◯第一王子ルキウス
国防における要職を務める長兄。生真面目で実直。
口数が多い方ではないが、兄弟のまとめ役。国内でも有数の実力者だが、本人は権威主義的ではなく、どちらかというと気を回すタイプ。
◯第二王子ベルハルト
外征関係の将帥。整った顔立ちが多い王室内でも、屈指の美男子。
剣呑な肩書の割りに、兄弟内では少し軽めの性格で、他よりも口数が多い。
継承競争会議において、彼がいないと息が詰まるか、兄や妹の負担が高まる可能性が濃厚。
◯第三王女アスタレーナ
外務省諜報部長。気苦労と案件が尽きないポストだが、仕事が早く辣腕。
多弁というほどではないが、兄弟のまとめ役その2。リズの位置情報を突き止め、継承競争会議で周知する役回りでもある。
見た目はキツそうだが、好戦性はない。苦労性。
◯第四王女ネファーレア
死霊術師として、国内でも代々枢要な地位を占めてきた家系を母方に持つ。彼女自身も優れた死霊術師である。
後宮をはじめとする王城近辺の守護に加え、鎮魂等で祭司の役を担っている。
美形だが、陰気。
現王室の出生順では、下賎の女が生んだリズの次にあたる。そのことが、彼女と母親の人生に極めて大きな影を落としている。
◯第五王女レリエル
法務省と祭祀関係の重職を兼任。母方は魔法契約関係の大家。
役職と能力の影響か、長兄に輪をかけてクソ真面目なメガネっ子。
継承競争においては、自身が権力を掌握するためではなく、あくまで制度そのもののために参加している部分が大きい。
◯第六王子ファルマーズ
魔道具の研究開発における若き名工。
そちらの本業で仕事が忙しく、継承競争にはあまり興味がない……というより、準備が整わないと動けないという話。
末弟ということで、兄姉からは可愛がられており、特に第二王子はいろいろと目をかけている様子。
◯ローレンス・マクダウェル
リズがまだ幼かった頃、彼女に槍・杖・棒などの武術を教えた師匠。
まだ30歳そこそこという若さだが、平民の出でありながら、武芸の頂にまで至ったと誉れ高い武人。
気遣いする方だが、割と不器用とは弟子の評。
第二王子ベルハルトの部下である将帥だが、サンレーヌ会戦において、外務省管掌下の秘密作戦に従事。アスタレーナの命に従い、リズと革命勢力に協力し、きちんと生き残って帰還を果たした。
☆☆☆一章~二章までの登場人物☆☆☆
☆ロディアンの町と近辺
◯フィーネ
川から流れついたリズを看病した主治医。尊敬する父と同じ、呪術医の道を歩んでいる。
若くして専門家としての知識があり、馬術の腕も十分。仕事には真摯で自負もあり、それ以外には謙虚な性格。
リズには色々と驚かされた。
◯ユリア
明朗快活な少女。
リズがロディアンから隣町へ行く際、だいたい同行する仲。農作業も一緒に行ったということで、生活面における先輩格でもある。隣町で飯をおごったことも。
◯竜
人語を介する竜。年寄りのような話し方をする。住処である山の名から、ベルギウスの竜とも。
かなり寛容な性格で、客の来訪は喜んで歓迎する程度に、暇を持て余している。
リズとしては、色々と世話になった自覚があり、頭が上がらない。
この件について、当の竜からすれば、良い暇つぶしになったとのことだが。
☆ハーディング領
◯クリストフ
トーレットで蜂起した、革命勢力のリーダー。
実は、革命の前身・きっかけとなる動きが前にあり、その時は彼の父が主要な人物であった。
そうした経緯と、地元における名士の家の出ということもあって、クリストフは半ば担ぎ上げられた旗手のような面も。
本人はいたって温厚だが、モノの見方は中々シビア。
革命後、新政府議会のメンバーになった。
◯クロード
クリストフの無二の親友。孤児で、クリストフの父に拾われたという過去がある。
リズが革命に参加した当初、彼女に対して警戒心もあらわに接していたが……あえて憎まれ役を買って出ていたという部分が大きい。
打ち解けた相手に対しては割と素直。
◯ダミアン
革命に協力した傭兵部隊のまとめ役。
若者が多い革命勢力にあっては、経験豊富な年配者として、落ち着きのある態度を見せていた。
ただ、クリストフらの考えが中々当を得たものだったため、助言を求められない限り、傭兵として議論に割って入ることはあまりなかった。
リズが只者ではなく、彼女の生まれについてなんとなく察するものはあったようだが、それを隠そうとする彼女の意思を汲んだ。
◯マルグリット
さっぱりとした調子の、傭兵の少女。
本業は剣士だが、《空中歩行》や罠探知等、中級の魔法にも多少の覚えがある。
リズとは世代が近いということもあり、モンブル砦の確保で一緒に行動した際、すぐに仲良くなった。
◯ジェラール・ド・ハーディング伯爵
少し前までは、安定した治政を内外から評価されていた領主。
策謀が巡るハーディングにおいて、彼自身は、自らの身と道連れに上層部の腐敗と武断主義――あるいは、それを促した何らかの手先――を一掃する考えでいた。
実際、彼の思惑は革命を中心とし、そこに他勢力が手を加えることで成就。
伯爵家取り潰しと、軟禁下での余生という生き恥を受け入れた代わりに、彼の望み通りハーディング上層部は刷新されることとなった。
◯魔神アールスナージャ
両性具有を思わせる風貌の、全身鎖帷子の魔神。破軍の魔将という異名を持つ。
善悪の概念は特になく、ただ血湧き肉躍る激闘のみを求める、一種の求道者のような存在。史学においても存在感を示す。
第五王女レリエルとの契約により、モンブル砦に襲撃。リズと激戦を繰り広げた後、増援の手による猛反撃に遭い、撃退された。
戦いばかりでなく、それに付随する会話も楽しんでいる節が有り、意外と話せる口ではあった。




