リューヤンという人物
はじめて会った時からおかしな人間だとは思っていた。
森の中に1人でいたことも、片言の言葉も、妙になれなれしい態度も僕を不審に思わせた。
それを知ってからもリューヤンという人物は”おかしい”という言葉どおりに普通ではなかった。
彼は自分を予言師と言っているが、それだけではないと思う。
予言があるなら、
なぜ自ら旅に出て戦う必要があるのか
なぜもっと早くに準備できたことをギリギリで切り抜けようとするのか
僕にはわからない
予言があるのに感情の起伏は激しくて何を考えているかさっぱりわからない
片言の言葉もいつのまにか流暢に話すようになっているし、いったい何なのだろうか
頭がいいのかと思えば、こちらの言ったことはすぐ忘れるし、そうかと思えば教えていないことはあっさりとやってのけたりする
彼がいることで何人もの命が失われずに済んだのも事実だと思う。ただ・・・
考えても仕方がないので僕は彼を観察する。
彼の本当の目的は何なのか?本当に僕たちの、いや、人類の味方なのか?
懐疑心と親愛が心の中で混じり合ってお互いを包み込もうとしている。
そう考えると少し気持ちに整理がついたようにも思う。
「僕はリューヤンを疑ってる。でも同時に大切な友達とも思っている。それでいいか」
旅を続けるにあたって、同行者を疑ってばかりでは疲れてしまう。魔物の蔓延る大地を進むには休息も重要な要素になる。合理的に考えても彼を友として背中を預けた方がいい。注意を怠るつもりはないが、信頼してもいいのではないか?少なくとも今はまだ・・・
急激に訪れた人生の変化に戸惑いながらも未来を見据える少年は眠りについた。




