4章終
「え?」
俺はまぬけな声で聞き返した。
「私もリューヤンと旅をするの!ダメって言ったら、許さないわ!」
「え、いやダメというか、え?」
俺は頭が付いて来ず、エールに助けを求めるように視線を向ける。
エールはなぜか微笑んでいる。
「ダメなの?どうなの!」
ククルがいらいらと答えを催促する。
「え、い、いいよ?」
俺はおそるおそる探るように答え、ククルの顔色を窺う。
「そう」
ククルは無表情に一言、そう発する。正解なのか不正解なのか全くわからない。
「りゅ」
小さくよくわからない声を漏らすと、ククルはぷるぷると震えだす。
「だ、大丈夫か?」
震えるククルに俺は立ち上がって声をかける。
すると、ククルが俺の胸に抱き着いて来た。
「あ、その」
「リューヤンが、無事で、グスッ、よか、でも、グスッ、ピクシ、が、でも、リューヤわーーー」
俺がもじもじ声をかけるとククルが大泣きしながら大声で話し、そのまま俺の胸の中で号泣している。
俺は不器用にククルの肩をだき、頭をなでた。
が、この後どうしたらいいかわからず、エールに助けを求める視線を送る。
エールはやれやれと、食器を片付けて去っていこうとする。
おい、待てコラ、どこ行く、この野郎。
俺が非難の視線を浴びせると、エールはにやにやしながら、片手をあげて、部屋に戻っていった。
じゃ、あとは若いお2人で、じゃないんだよ。ぶっ飛ばすぞ。
エールが去ってしばらくしてもククルは泣き止まなかった。シクシクの周期が少し落ち着いたときに、身体を少し離して顔を見ようとしたら、ククルは急に顔を真っ赤にして走り去ってしまった。メタルなスピード感で逃げて行った。
その後、俺も部屋に戻り、昼飯時まで部屋でごろごろしていた。
今回の件で、後悔はあるし、まだ落ち込んでいる部分もある。
判断を間違えたが、手を抜いたわけでもないのは本当だ。
一番辛いはずのククルが、前を向こうとしているのを感じ、俺も少しだけ前向きな気持ちを取り戻すことができた。
●心の称号:芯念を手に入れた。
●リューヤンは後悔を糧として精神的にちょっぴり成長した。
俺がいろいろな事を考えていると、昼前ごろにノックの後、エールが部屋に入ってきた。
「ところで、そろそろマッシュも心配だから迎えに行きたいんだけど」
あいつの存在を完全に忘れていた。