4章3
少しぴりぴりした雰囲気もオラクルが見えたら吹き飛んだ
「はあ、なんか帰ってきたみたいな気分だな」
「リューヤン、そんなにオラクルが気に入ってたの?」
俺が嬉しそうにしていると、エールが不思議な顔をして聞いてくる
「エールにはこの気持ちはわからんだろうな」
この世界に来てはじめてのちゃんとした町。ちゃんとした宿。キャンプ暮らしの流浪の民には宿のありがたさがわかるまい。
オラクルに着いたのは夕方ごろだった。
ククルを探したい気持ちもあったが、旅の疲れもあり、宿に直行した後は朝までぐっすり眠ってしまった。
翌朝
「リューヤン、ククルたちのこと聞いたかい?」
エール、マッシュと3人で朝食を食べはじめるところで、エールから聞かれる。
「ん?なに?」
またしても何も知らない俺。
「僕らと入れ違いで昨日ピクシーと一緒に旅に出たらしいんだ。多分、僕たちを追いかけて」
「え?マジで?」
追いかけてくれた嬉しさと、すぐに会えない悲しみが半々の気持ちになった。
「あと、2人がどう関係しているか分からないけど、出発してしばらく経ったころに2人の進路の方向で爆炎が上がったらしい」
ガタッ、俺は乱暴に椅子から立ち上がった
「リューヤン、落ち着いて2人に何かあったとは限らないから」
俺はエールの声を無視して部屋に戻り、集毒草の実を飲み込んだ。
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「ちゃんと前を見て操舵してくれないと。乗ってる馬車が突然傾いた人の気持ちがリューヤンにわかるかい?」
どうやら、俺が脱輪させて寝不足のエールに小言を言われる時間に戻ったらしい。
「あーしまった」
ククル達がどこに向かったのか聞かずに戻ってきてしまった。
「いや、しまったって思うの遅すぎるよリューヤン。今言うのは、ごめんなさいでしょ?」
「うるさい、大急ぎでオラクルに向かうぞ、予言だ予言」
「くっ、開き直るどころか、うるさいなんて。ひどすぎる。予言って言えば僕が従うと思ったら大間違いだよ!」
エールはその後ぐちぐち文句を言いつつも、急いでオラクルに向かってくれることになった。
俺がふて寝してストライキを起こしたときよりも馬車の雰囲気がいい気がする。
エールの協力もあって、前回より半日以上早く、朝にはオラクルに着くことができた。
まずは、手分けして情報収集をしなくては。




