1章2
2話連続チュートリアルになってしまいました
『お主にできることは理解できたか?』
「はい、死ぬと森に戻ることと、途中でセーブできるってことですね」
『うむ。まあ使っていくうちに気づくこともあろうが、今はその理解でよい。次に世界のことだが』
「あ、すいません。能力って死に戻りだけですか?ほら、異世界モノってだいたいチートな能力があるじゃないですか?敵の能力を吸収できたり、成長が早かったり、すごい魔法が使えたり」
これが俺の異世界生活で最も大事なことだな
『ん?そんなものに突然目覚める訳あるまい。現実を見よ。我等はお主を異世界に呼びはしたものの、身体はいじっておらん。異世界に引っ越して来たとでも思え。逆に身体をいじっていたら元の世界に戻るのに苦労したのだぞ。感謝せよ』
話を遮ったのがいけなかったのか、少しイライラした調停神が、恩着せがましく言ってくる。現実を見ろとか言うなら異世界に呼びつけないで欲しい
「でも死に戻りができるなら、他の能力を付けたりもできるんじゃないでしょうか?」
俺は負けずに食い下がる
『くどい!できぬものはできん。我の説明が不要ならば元の世界に帰るか即刻決断せよ』
急にキレてきた。むちゃくちゃかよ。調停はどこいった
「あの、すみませんでした。説明をお願いできるでしょうか」
『うむ、ならばあとは必要最低限のことだけ伝えよう。我は魔族を使って人族を滅ぼさんとしておるが、今は膠着状態でな。我が半身はお主を呼び出し、我は均衡を崩す策を講じたところだ。お主のような者が魔族を滅するとは到底思えんから、このまま我の思惑通りに進むことを見守ろうぞ』
『あと、お主のような黒髪はほとんどおらんから魔族と間違われるかもしれんな。信頼のない相手に紛らわしい行為は避けるべしと心得よ。間違っても初対面の相手に手をかざすなどという暴挙は慎むことだ』
手をかざすといえば魔族が俺に火炎を放つときもそうだった。この世界では手のひらから魔法が出るタイプなのか。俺が右手を突き出して、使えるはずのない魔法を放つ真似をしてみる
『クックック・・最初に槍で突かれたときのことを忘れたか?』
調停神がニヤニヤしている。うざい。ん?槍?
『何も突き出さずとも、拳は開いておればよい。ほれ、こんな風にな』
「あー・・・」
調停神は両手を挙げて降伏のポーズを取る。俺が初めて金髪と会った時にしていたポーズだ。確かに両手がこちらに向いていて、そこからあの火炎が飛び出すと思うと気が気がでない。そりゃあ初対面で魔法ぶっ放す準備したら槍で突かれるか。俺、魔法使えないらしいけど
『これからは精々気を付けることだな』
「ご忠告ありがとうございます。ところで調停神様はどうして親切に説明してくれるんですか?」
さっき怒ってたし、そもそも俺に説明するメリットないよね。
魔族が絶対勝つってわかってるから少しはゲームを面白くしろよ的な舐めプかな?
『我は均衡を目指しておるのだ。再現なく生を繰り返すものが、何の説明もなく世界に飛び込んでみよ。何をしでかすかわからん。お主がまともであるほど我は安心できるというものよ』
魔族的には俺に無茶苦茶されると困るってことか
"そろそろいいですか~~~~~~~~?"
語尾が長すぎる。ひととおりいじけた適当女神が復活して戻ってきた。いや、俺と調停神が途中からガン無視してたものだから顔は笑ってるのに怒ってるのがわかる。
"では、りゅーやんさん、いってらっしゃ~い"
適当女神がそう言うと景色がぼんやりしてきた。っていきなり転移させようとしてない?
「え、ちょ、まだ聞きたいことがあるんですけど」
そう言っている間に景色が薄らいでいく
『あー最後にお主はあの村の者のことを勘違いしてお』
調停神が何かを言いかけたところで、俺はあの森に飛ばされた