3章23
結論:ダメでした(2回目)
俺の思い付きは戦闘中への死に戻りだ
こちらの都合がいい反応が起きた瞬間に死に戻ることで、少しずつ形勢をよくしていこうという発想だ
ゲーム用語的にはTASさんにあたるだろう
TASさんとは「します、させます、させません」という意味だ
万に一つでも勝ちうる相手には絶対に負けない
神をも超える運命の選択権
多分これが一番つよいと思います
まずは、槍投げでアーサーの体制を崩すところからだ
「エイッ」「オリャ」「テイッ」「オラー」「フンッ」・・・・・
Take34 「・・・」
俺は無言で槍を投げる。
突かれすぎて疲れてはいるが、それが原因ではない。
何も言わずに投げるのが一番意表をつけることがわかったからだ。
声を出して攻撃の合図をしたら奇襲がバレる。そんな簡単なことに最近ようやく気づいた。
そして今回の投擲はかなりいい感じではなかろうか
真っ直ぐ突進したところでアーサーの槍にやられたが、全力で屈めば避けられそうな気がする。
→槍投げ直後に死に戻り
「あっ?」グサっ
→槍投げ直後に死に戻り
「えっ?」グサっ
→槍投げ直後に死に戻り
「ダーッ」グサっ
→槍投げ直後に死に戻り
→槍投げ直後に死に戻り
→槍投げ直後に死に戻り
→槍投げ直後に死に戻り
→槍投げ直後に死に戻り
もう少し前から
・・・あっ戻りすぎた
→「エイッ」「オリャ」「テイッ」・・・
俺は延々と繰り返した
繰り返した結果として人はTASさんにはなれないことを悟った
なぜならまったく体が動かないからだ
死に戻った瞬間の俺は、投手の投球直後と同じく重心が片足に乗り少し前のめりな状態
前にかかった体重をスピードに変えて突進するのが目標だ
だが、実際にやってみると、全くスピードに乗れない
想像してみて欲しい
例えば走っている途中に突然意識を失うと人はどうなるのか
身体は自重で倒れこみ、慣性で前につんのめって転がるだろう
つまり人は走るだけでもさまざまな筋肉の制御を行っているということだ
それを意図的に「走っている途中で使っている筋肉」を動かすことなんてできなかった
死に戻った瞬間に足に力を入れてみても、ピンッと足が張り、下手くそなスキップみたいになったり、ぐしゃっと崩れるように転んだりした
何回か練習して、どうにかバランスを取って走り出すこともできたが、一瞬を争う戦闘では致命的な減速となり結局槍投げで得たアドバンテージが無意味なモノになってしまった




