3章17
毒か。
サボテンの魔物カクタスどもを駆逐した後、時間が経つにつれ倦怠感と体中の痛みが少しずつ増していき、最終的には高熱でうなされるように動けなくなり、そのまま絶命した。
「くそっ、紫の液体は全部毒(偏見)って決まってるから気づくべきだったな」
ダニエルさんと別れた直後からやり直した俺は、今度は慎重に立ち回りながら移動した。
しかし、結果は思わしくなかった
カクタスは基本的に複数で徒党を組んで現れる。2体や3体なら時間をかけて慎重かつ体力をうまく配分できればなんとか倒せる。だが、4体、稀にだが5体で現れたときにはどうしようもない。決死の攻撃で1体ずつ減らしていけば勝利することはできるが、毒でやられてしまう。
どうしたものかと思って死にもどったときにダニエルさんに相談したところ、曰く「カクタスの毒に解毒薬はないが、一定時間体力を蝕むだけのものだから、毒が抜けるまで安静にしてれば大丈夫。子供の魔法でも倒せるくらい魔法耐久の低い魔物だから、そもそも近寄らないのがいい」とのこと
毒は数時間あれば抜けるらしいが、数時間その場にとどまれば他のカクタスに襲われる可能性が高いから、無理だ。そして俺に魔法という選択肢はない。
ここで状況を整理してみよう
・ソロプレイ
・魔法縛り
・道具縛り(集落強制退去のため)
(NEW)ノーダメージクリア
詰んだか?
その後も戦闘後の安全地帯を探したり、カクタスとの戦闘を分析したりと試行錯誤を繰り返した。
「さては出現パターンと行動パターンが決まってるな?」
俺は幾度の死を乗り越えて、カクタスの出現場所や攻撃方法を割り出すことに成功した。
集落を出て真っ直ぐ進むとしばらく歩いたところでカクタス3体が現れる。1体だけ先行して攻撃してくる奴がいるからそいつに全力で槍を突き刺して1撃で沈める。
残りの2体が襲ってくるので一旦槍を放置して回避に専念。距離を取りながら立ち回って槍を回収。あとは逃げ回りながら1対1の状況を作って地道に攻撃していく。
「ふーっ。だいぶ慣れてきたな」
相手の行動を把握してパーフェクトな戦闘を繰り返す。4体、5体と出現する場所は避けて迂回しながら移動する。
無理ゲーと思われたソロクエストにもなんとか攻略の糸口が見えてきたように思える。
ただし
「オラクルへの帰り道がわかんないんだよなー」
根本的な問題の解決ができていないのであった。




