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3章15


「魔族討伐とか無理です。世界を旅するための嘘でした。すみませんでした」


俺が導き出した結論は完全自白であった。


「そうかそうか。やはりそうでしたか。じゃあ、エールが一緒に旅に出る必要はないってことだね?」


「え、いや、その」


「あるのかい?」


アーサーの真っ赤な髪が逆立つのを感じる


「いや、全然まったくないです。すみませんでした」


「ダニエル、お引き取りのようだから集落の外まで送ってあげなさい」


アーサーが声をかけると間髪いれずにダニエルがあらわれた

ちょっと待って、ダニエルおじさんも俺が殺されるの黙って見てたってことだよね?リューヤン殺人事件の共犯なの?



「リューヤンさん、エールがお世話になりました。どうか無事におかえりください」


集落の端までやってくると、ダニエルから別れの挨拶があった


「あの、どうして」


「ああ見えてもエールは我々にとって大事な族長なんですよ。おまけにアーサーは子煩悩でいまだに子離れできていませんからね」


突然集落から追い出されたことを問おうとする俺に、ダニエルさんがくっくっと笑いながら続ける


「エールが旅立つというなら絶対の安全が欲しかったんでしょう。でも今の世で旅に安全などありえません。万が一、アーサーを打ち破れる程の猛者がいれば或いはと思いますが、そんな人間は世界に何人いることやら」


見た目からして地上最強の生物と聞いても驚かないようなエールパパだったがリアルにめちゃくちゃ強いようだ


「わざわざ集落までお越しいただいたのに、我々の事情でリューヤンさんを振り回してしまいすみませんでした。少ないですが食料をお分けしますのでどうかご無事で」


ダニエルさんから餞別をうけとって俺は集落を後にする


「そうそう、大変心苦しいんですが、くれぐれも集落には戻らないことをおすすめします。さきほどリューヤンさんが引き下がらなければアーサーが何をしていたか」


振り返るとダニエルさんが困ったような顔でそう伝えてくれた。

俺が殺されるのを止めてくれなかったダニエルさんだが、この言い方だと共犯というわけでもなさそうだ。暴走する最強生物パパを止めることができないから渋々といったところか


「知ってますよ」


俺は意味ありげに微笑みながらそう答えて集落を発った。少しでも親交があったダニエルさんが俺を殺す意思があったわけではないと知れて、少し心が軽くなった気がした。

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