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3章13(邂逅5)


ピンポンパンポーン↑


"リューヤンさんに大切なお知らせです。時の遡行は、ただいまより数日程度の範囲内に限定させていただきます。突然のアップデート、大変恐縮ではありますが、何卒ご理解賜りますようよろしくお願い申し上げます"


ピンポンパンポーン↓



「なんですかこれ」


・・・


「きこえてますよね?」


・・・


「さっさと出てきてくれませんかね!」


俺はいつもの真っ白な空間にいた。気がつくと百貨店のアナウンスのような音声と共に理不尽な内容が放送されたが、この世界でこんなことをする容疑者は2人しかいない


俺が叫んでいると、失敗しちゃった”てへっ”とでも言いたいような困った笑顔の適当女神と、言わんこっちゃないとあきれ顔の調停神が現れた。


これで犯人が割れたな。


「で、さっきのアナウンスはどういうことですか?」


イライラしながらも俺は尋ねる。


"それが~ ちょっとした手違いがありまして~


「手違いって何ですか?」


いつも手違っている気もしたが、そこを責めるのを我慢した俺を褒めて欲しい


"リューヤンさんが死なないのは~ 時を遡ってるからなんですけど~"


それは前にも聞いた気がする


"時を超えるのは~ やっぱり~ 無理があったみたいなんです~"


「無理があった?」


"そうなんですよ~ なので私も仕方なくなんですよ~?"


ね?みたいな顔で適当女神がこちらを見ているが、何が仕方なくなのか、まったく事情がわからない。


『人の身では、時の奔流を大きく遡るのに耐えられぬということだ』


俺が怪訝な顔で適当女神を見つめていると調停神が補足してくれたが


「時の奔流?今までは大丈夫だったのになんで?ですか?」


だんだんと敬語じゃなくてもいいような気になってきたが、キレやすい神様相手なので我慢した。ビジネスマンがダメな上司と話すときはこんな気持ちなのだろうか


『時の概念を体感できない者への説明か・・・うーむ・・・』


"私は~ 赤い糸を手繰り寄せるみたいに~ 思ってましたよ~"


横からドヤ顔とちょっとテレ顔で補足する適当女神。ただし、全く補足になっていないどころか謎を深めるのが適当女神クオリティだ


『そうだな。糸でつなぐというのがわかりやすいか』


調停神には合点がいく説明だったらしい


『釣り糸を川に垂らすと流れていくであろう』


「まぁそうですね」


『針先にくくりつけられているのがお主で、釣り竿を引き戻しているのが我々だと思えばよかろう。くくりつけた餌が想定よりも水流でくずれそうだった故、あまり遠くまで流すのはやめておいたほうがよかろうという話だ』


「なんとなく意味はわかったんですけど、失礼な例えで説明されてません?俺が餌ってことですよね」


『だが理解は進んだであろう』


こんな説明をしておいて若干ドヤってるのが腹立つ


「つまり、調停神様はまたしても予想外のできごとに戸惑っていた、と」


『では、また会おう』


俺が皮肉を返すと調停神はカッと目を見開き、俺の視界はぼやけてきた。どうやら飛ばされるらしい。

自分のミスを責められるとすぐキレるって、マジでこいつダメ上司すぎないか・・・

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