3章7
俺はイライラしながらも宿の1階でエールと今後の打ち合わせをした。
俺がテキトーな返事をしていたせいか、話はトントン拍子に進み、明日の朝にはオラクルを発つことになった。
てっきりエールが数日は療養するかと思ったが、元々ほとんどケガはしておらず、解毒が済んで一晩寝たらすっかり元気になったそうだ。半端じゃない生命力はキーフ族のものなのか、エールの体力がおかしいのか不明だが、とりあえず元気ならよかった。
オラクルを発った後は、キーフ族の集落に一旦帰り、旅の道具を揃えてからいよいよ魔族討伐という名目の世界旅行に出発らしい。不覚にも世界旅行という響きには少しワクワクしてしまった。
打ち合わせ後、明日の出発までは自由行動となった。
ちなみに俺たちが打ち合わせをしているうちにククルはこっそり部屋から出て行ったらしい。
1日時間ができたものの、オラクルやり残したことは特になく、一応知り合い(と言えるほどの仲の人もほとんどいないが)に挨拶をして回った。
数少ない知り合いである、キーフ族のおっさんことダニエルはとっくに宿を出て集落に向かっていたらしい。割と重症だったはずなのにやはりキーフ族体力バカなのか?
気まずいながらもククルにも挨拶しようと思って何度か教会を訪ねたが、不在とのことだった。
会えなくて残念なようなホッしたような気持ちでモヤりながらも、ダラダラと過ごしているうちにあっという間に夜になり、オラクル最後の夜は誰も訪ねてくることはなかった。
俺はベッドの中でもモヤっていたが、前日完徹だったせいかすぐに眠りについてしまい気づいたら朝だった。
翌朝
俺はエールといつもどおりの朝食を済ませ、オラクルの門へと向かった。
この世界に来てはじめて衣食住がきちんとそろった町なので、少し感慨深いものを感じつつ歩いていたが小さな町なのですぐに門が見えてきた。
門の下には、はじめてオラクルに来た時に立っていたセキュリティゆるめの衛兵さんと、もう1人。
重量感たっぷりの旨を両手で支えるかのように体の前で腕を組んでいる少女。ククルが仁王立ちしていた。