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序章終

しばらくは平日17時更新を続けられるよう頑張ります。


俺が村に入るとすっかり日は沈み、あたりは暗くなっていた。


ただ、村の中はまだ燃え残っているテントや木々のおかげで十分な視界を確保できている。


見たところ誰もいない。あたりは静まりかえっており、時折何かが燃え尽きたのかばらばらと崩れ落ちるような音が聞こえる。


俺は緊張しながらも金髪が向かっていった村はずれを目指す。


焼け落ちたテントを避けて、葉が燃え落ちて坊主になった木を横切るとそこには広場のような空間があった。


このあたりが一番炎の影響が大きかったのだろう。

すでにほとんどの木が燃え尽きているせいで、村よりもかなり暗く、何があるのかよく見えない。


だが、目を凝らすと広場の真ん中あたりで丸太か何かに座り込む人がいた。


もしかして金髪か?ぼんやりとした輪郭しか見えず、他の村人と区別がつかない。


俺が広場をのぞきこんでいると、その人物は立ち上がりこちらに手を向けてきた。


そして


掌から燃えさかる火炎が飛び出した。


「うわぁっ」


驚いて咄嗟に避けようとしたが、そんな必要はなかった


はじめから俺のことを狙っていなかったのか、炎は俺のすぐ横の坊主の木に当たり燃えあがった


炎のおかげで広場の人物がよく見えるようになった。


そこには炎のように逆立ったオレンジの髪をした体長2mほどの大男が立っていた。いや、男に見える何かだ


赤みがかかった肌はまるでゴムの塊ような無機質で頑丈そうな質感をしている。内包された全身の筋肉は鍛え上げられているようで、皮膚が弾けそうなほど膨らんでいる


一目見ただけで、勝てない、戦ってはいけない相手だと痛感する。もしやこいつが魔族か?

魔族らしきものは最初に火炎を放ってから訝しげな表情で俺の顔を眺めている


襲ってこないのであればここは一旦話をしてみるのも手だと考え始めたときであった

炎に照らされた広場の様子が目に入ってきた


広場のあちこちにたくさんの人が焼け焦げて倒れていた。俺のすぐそばにも顔が半分真っ黒焦げでピクリとも動かない人が倒れており、握っていたであろう槍も一緒に転がっている


まさかこいつが・・・


怒りと恐怖が入り乱れた感情のまま魔族をにらみつけようとすると魔族の足元に目がいった

さきほどまで魔族が座っていたものは丸太ではなかった。それは輝く金色の髪の青年だった。あんな髪のやつはこの村に1人しかいない


その瞬間、俺の恐怖は消し飛び、足元の槍を拾い上げると魔族に向かって走り出した


「うぉおおおおおおお」


これだけの村人を惨殺するような輩に勝てるとは思っていない。金髪もおそらく死んでいるであろう


だが、このまま立ち去る訳にはいかなかった。せめて一矢報いたかった

魔族に向けて真っ直ぐに駆ける


だが、俺が走り出すと魔族はゴミでも見るような目をして気怠そうに片手をかざし、火炎を繰り出した

魔族まであと数mまで迫っていた俺はその場で火だるまになり吹っ飛ぶ


「ぐわぁああぐぞぉおおお」


俺はなにもできなかった。


全身を焼かれた激痛と肺まで焦げて呼吸すらできなくなる。死に行くことを自覚したが俺の頭に恐怖はなかった。あるのは金髪達と俺を殺したこいつへの復讐心だけだ


絶対に生き返ってお前を倒してやる。何度でもやり直して必ず返り討ちにしてやるからな。

もはやほとんど原形をとどめなくなってきた顔で魔族に嘲笑を向けたところで少しずつ意識が遠のいていく


とりあえず二度目の死に戻りが起きることをあの適当女神に祈るか・・・

そういえばもう一人の神が魔族と関係していそうなことを適当女神が言っていたな。つまりあいつのボスで魔神ということか。適当女神に言いたいこともあるが魔神にも文句を言いにいかないとな・・・



そう考えながら俺は二度目の死を迎えた


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