表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/98

3章4


エールが眠った後は、まだ夕方前ではあったが解散することとなった。

ククルは何やら話したいことがありそうにこちらをちらちら見ていたが、戦闘の疲れもあって各自療養に努めることとなった。俺は自室のベッドに横たわるとすぐに深い眠りについた。



翌日



俺は朝から宿の主人に宿泊延長の交渉をしたり、まだ少し怒っている様子のエールに食事を運んだり世話焼きをした後、町を何の気なしに散策することにした。


朝食は宿で食べたばかりだが、昨日の夕食を食べていないし、決死の戦闘があったせいか、どうも腹が減ってきた。


そう思いながらぶらぶら歩いていると広場に人だかりができていた。

近づいてみると炊き出しのような形で何かを配っている。近くにいた人に事情を聞くと、ピクシーが昨日熊の魔物を回収するよう手配し、教会からのイベントとして熊肉で炊き出しを行っているそうだ。

昨日あれだけの戦闘をした後に、教会や町のために奔走していたとは、できる女に頭が下がるばかりだ。


熊の肉と聞いて少し躊躇したが、ピクシーの頑張りに感謝して俺もいただくことにする。


列に並び俺の順番になった。ククルとピクシーは見当たらなかったが、炊き出しではテールスープのようなものをもらうことができた。

透明のスープにごろごろした肉と野菜切れのようなものが入っている。まずはスープを一口。野菜ベースの塩スープに肉のうまみが溶け出しておりとても味わい深い。しっかりした味付けかつしょっぱすぎず、飲んでいると力が沸いてきそうなスープだ。

次はメインの熊肉だ。初めての熊肉にドキドキしながら一番大きなカケラを口にほおりこむ。


「ん!えっ?うまっ!!えっ?うまっ!!」


語彙力が馬だけになってしまうが、これは熊肉だ。そして、この熊肉とにかく美味い。

高級牛肉を圧力鍋でじっくり煮込んだようなほろほろとした柔らかさを持ちつつ、肉の繊維ひとつひとつは噛みしめるのに十分な弾力を保持しており、噛めば噛むほど肉汁が溢れてくるようだ。また、細かな繊維にスープが絡み濃厚な味をさらに引き立てる。


控えめに言わねば俺の語彙力では表現できかねますが大変おいしゅうございました。

語調がおかしくなってしまったが、スープの温かみでほっこりしつつも肉のうまみでガツンと引き込む最高の料理だった。



そのあとはぶらぶら歩いたり、好きなものを食べたり、疲れたら宿でだらけたりと、完全なるリフレッシュデーとなった。


日が暮れる頃、明日には今後の方針をエールと話し合わなければなぁとベッドの上でぼんやり考えていると、ドアをノックする音が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ