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3章3


その後、怒り狂うエールを沈めながら俺たちは治療のため急いで町に向かい、エールを宿に運び込んだ。

ひととおり治療を終えた後、瀕死で怒り狂っていた理由をククルとピクシーから尋ねられた。


ベッドに座るエールを囲みエールと俺はククルたちに今回の戦闘のいきさつを説明する。


「僕は町を出る時にリューヤンから言われたのさ。魔法を1回分使えるように残しておけって。あと、君たち2人にはそのことを黙ってるようにって。リューヤンの予言だから僕はそのとおりにしたんだよ」


そう、俺は熊を倒す最後の決め手となるようにエールに魔法を温存させておいたのだ。


「それでククルの魔法が覚醒して熊は倒せたし、誰も死ななかったから大成功だな」


俺が悪びれもせずそう説明するとエールはむすっとした表情で俺に問いかける


「ククルを奮起させる必要があったのはわかったけど、リューヤンは途中で弱ったふりして休憩してなかったかな?」


「えっ!あっ、いや、そんなことは・・」


「多少のダメージはあったみたいだけど、君は立ち上がろうともしてなかったし、大声で叫ぶ元気が残ってたみたいだけど、本当に僕のサポートができないほどだったのかな?」


「あー・・ほら!俺が変に助けて予言から外れたら困るしさ」


俺は慌てて、ククルの魔法の覚醒条件がわからなかったから、なるべく予見と同じ戦闘の流れになるように心がけていたことを説明した。


実を言うと俺は戦闘中かなり余裕があった。前回と同じように熊に5回吹き飛ばされたが、俺は熊の攻撃がどのような角度で飛んでくるかある程度予測がついたので、ダメージをなるべく抑えられるように吹き飛ばされていた。漫画でよくある「後ろに飛んでダメージを抑えた!」みたいな感じだ。


「まぁそういうことなら、一応納得はしてあげるか。ところで、どうして残しておくのは1回分だけの魔法だったんだい?」


「ん?」


「リューヤンが弱ったフリで良かったなら僕も治療魔法を使えるくらいには魔力を残しておいたらダメだったのかな?」


「その発想はなかった。さすがエールは賢いな、うんうん」


確かにそうすればこんなに重症でベッドに横たわる必要もなく戦闘後にある程度治療ができたな。でも思いつかなかったのだから仕方がない。俺は白々しくエールをおだててやり過ごそうと思ったのだが、エールはニコニコしながらベッドの脇に立てかけてあった槍に手を伸ばす。


「リューヤン、いい機会だから君自身の危険をどこまで予言できるかテストしてあげるよ」


エールはそう言うと槍をかまえる。

あかん、これ普段は温厚な人がぶちギレたときの反応だ。


「いや、すまんかった、ごめん、ごめんって」


その後、暴れ出すエールをククルとピクシーになんとかなだめてもらった。エールは元々重症だったところを無理に動こうとしたのが祟ったのか、ベッドに横たわると眠りについた。

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