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2章終


吹き飛ばされた直後に感じた異変は下半身の感覚が潰えていたことだった。


「ククルたちを守れなかったか・・」


俺は誰に伝えるでもなく口から血を吹き出しながら、か細い声でつぶやく


「リューヤン!」


俺の声に応えるかのように、ククルが叫びながら駆け寄ってくる。


「熊、、、は、、?」


俺は必死に声を絞り出す。


「リューヤンが倒したわ」


ククルは顔が涙でぐしゃぐしゃになっている。


あぁそうか。やっぱりあと少しだったのか。悔しいな。誰も死なずに倒せると思ったんだけどな。


「リューヤン、町に帰りましょ。教会に行けばきっと助かるわ」


ククルの涙は止まらない。俺が助からないことをわかっているのだろう。


「えー、る、、は?」


「あいつは毒が回る前に町まで運べると思うから大丈夫、大丈夫だから、だからリューヤン・・」


ククルの頬にとめどなく悲しみがつたっていく。


「そう、が、よがっ、た」


「またわたしのせいで」


ククルは自分の責任だと感じたのか両手で顔を抱えて泣きだしてしまった。前回の狩りでケガした人を気に病んでいたククルに申し訳ないことをしてしまった。


ククルに責任は全くないんだ。熊の魔物については俺たちが調べていた。責められるべきなのは距離が離れたと思い込んで警戒を怠った俺とエールだろう。


俺は体がばらばらに引き裂かれるような痛みを我慢して、なんとか腕を持ち上げて世話のかかるお姫様の頭をなでる。


ククルは驚いて顔をあがる


「ま、ほ、、、す、ご、か、、、た」


ほとんど空気が漏れているだけのような声しか出ないが何とか伝え、無理やり笑顔を作って見せる。


「リューヤンが教えてくれたから出来たの!」


ククルも俺の遺志を察してくれたのか、ぼろぼろと涙を流しながらニコっと笑ってくれた。


「り、ぱ、、な、、ま、、ほ、、つ、か、、、」


声を絞り出そうとするが、身体から何かを吸い取られているようにどんどん力が入らなくなっていく。もうおしゃべりすることも難しそうだ


「リューヤン、いや!死なないで!お願い!」


力が抜けたせいか、横たわっていた姿勢からさらに地面に沈むように身体が落ちる。ククルは咄嗟に俺の手を握ってくれた。感覚が抜け落ちていった身体の中でククルが握ってくれた部分だけ唯一温かみを感じる。とても安心する温もりだ。


「大丈夫。俺は死なないよ」そうククルに伝えてやりたかったが、俺は言葉を発することができず、そのまま意識を失った。


気が付くと真っ白な空間にいた。

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