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2章24


最初の魔物を倒してからは単調な戦いが続いた。


基本的には俺かエールで突進を受け止めて他の人が攻撃する。ピクシーは常にククルのサポートに入れるように立ち回る。豚以外が現れたときはエールが応戦している間に距離をとる。


町の近くの平野をうろうろしながら魔物を探していたので危険も少なかったが、誰もケガすることなく狩りができたのは良かった。


昼時となり小休止しながら食事をすることになった。昼食のことなど何も考えていなかったが、そこはさすがのピクシーさんで、全員分のサンドイッチを用意してくれていた。


サンドイッチの中身は芋をつぶしたようなものに甘たれがかかっているもので、パンは米の味。ポテトサラダに焼肉のたれをつけておかずにしているような感覚だがこれはこれでおいしい。


食べながらエールが皆に向けて話す


「あんまり町から離れるのもリスクが高いから、今日はこの辺にしてもう何体か倒しながら町に戻ろうか」


「えー!わたしはまだまだ大丈夫なのに!」


「狩りを怖がらないことと甘くみることは別の話だよ」


エールが珍しく冷たく叱る。ククルがうっと泣きそうになる


「ククル様、今日は記念すべき日ですし町に戻ってお祝いをするのはいかがでしょう?遠出はまた改めてということで」


「そうもそうね」


ちょっと震え声ながらも気を持ち直すククル。

少しピりつくことはあったが全体的には和やかな雰囲気で食事をしていると、事件は起きた。


「グヮヮァアアアアアアア!!!」


ピッグスの断末魔とは明らかに違う、大きく低く響き渡る咆哮が聞こえた。


「しまった!全員迂回して町に逃げるぞ!」


エールがいち早く武器を構える


俺たちがいる場所から町の方向に20mほどのところから大きな熊の魔物がこちらに向かって走ってきていた。平野とはいえ凹凸もあったこと、エールはより危険な町の反対側を警戒していたこと、ピクシーは給仕をしていたこととエールに警戒を任せて安心していたこと、いくつもの不運で接近を許してしまったといえる。


「な、くそ、エール!」


俺たちも急いで移動しようとしたがいつのまにか周りを蜂の魔物の大群に囲まれていた。武器ではこの魔物との相性はかなり悪そうだ。おそらくエールの魔法頼みだ。

だが、エールは向かってくる熊の魔物の足止めのために俺たちから少し離れている


「お任せを!氷結世界ヘヴィスノウ!」


ピクシーがよく通る声ではっきりと大きく叫び、手で大きく空を払うと、その延長線上に猛吹雪のような凍てつく風が吹き抜けていった。蜂の魔物の大半は凍り付いて床に転がっている。


「今です!脱出を!」


ピクシーが俺たちにそう号令をかけるころには熊の魔物はエールの目前まで迫っていた。

俺は直感に従い走り出す。


「先に行け!」


俺はエールの元へ向かった


「え?リューヤン?」


ククルが不安そうな声を出す。ピクシーは無言でうなずきククルの腰をつかみながら走り出す。


「ククル!お前はやっぱり火の玉とか飛ばす魔法が似合うと思うぞ!練習していつか見せてくれよ!」


俺は離れていくククルの背に向かって叫んだ

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