2章22
俺は人としての当然のマナーとして扉をゆっくり静かに閉める。
そして足音を響かせるような傲慢な真似はせず、控えめに謙虚に音を立てずに移動する。
気持ちよさそうに寝ている女の子を起こすような無粋な真似はしない。
俺はそっとククルに近づき間近で眺める。温かい気候だからかククルは布団もかけずに横向きの姿勢で少し膝をまげた状態で眠っている。
重力により重ね合わさっているのが原因なのか、中身のボリュームがありすぎるのが原因なのか、いやあらゆる条件を満たしたからなのか、胸元の防御は自然と突破されている。これでは全体の3割程度しかカバーされていない。
だが、その3割に未知なる頂はしっかりと隠されている。あと少し、あと少しで登頂できるというのに。
横からではダメだが角度を変えてチャレンジしてみようと思う。隠されたものに魅かれるのが冒険者というものだ。俺はベッドにゆっくりと手をつき、体を乗り出してククルの胸元をのぞき込もうとした。あと3センチ先には秘境が・・・
「あっ」
前のめりになりすぎたせいで、手をすべらせてベッドに倒れこんでしまった。ボフンッとベッド全体が大きく揺れる。転んだ姿勢が悪かったのか、いや良かったともいえる、ククルと俺は互いの鼻先がくっつくのではという程の至近距離で向かい合う形になった。
そこでククルがパチッと目を覚ます。
「え?リューヤン?」
困惑するククル。やばい、終わった、どうしたら・・・
「迎えに来てくれたのね!!」
ククルはうれしそうに俺に抱き着いてきた。抱き着かれている姿勢の都合上、俺のお腹にはやわらかな感触が伝わってくるが、お腹に意識を集中すると、お腹のもう少し下あたりが元気になってククルにお返しをしてしまいそうだ。
「おう!ピクシーたちが狩りの日を決めるまで暇かなと思って」
俺は寝ころんだまま少しへっぴり腰になりながらククルに返事する。お顔が近いです。
「あれ、リューヤン聞いてないの?今日がその日よ!」
「そんなことエールが言ってたかもな!」
そういえば狩りの準備をしたら出発とか朝飯のときに言ってた気がしなくもない
「じゃあ急いで着替えるね!」
起きて10秒のテンションとは思えないほど快活に動きだすククル。ベッドから飛び降りて部屋の隅にある箱の中からがさがさと着替えを出してくる。そして寝間着をばっと脱ぎ去り。着替えをいそいそと着ていく
おい、ちょっと待て。いま普通にピンクの星2つが俺の眼前に輝いていなかったか?
俺が一瞬のできごとを頭の中で振り返っていると、ククルが髪をポニーテールに結んで準備が終わったようだ。
「さぁリューヤン行くわよ!」
起きてから5分と経っていないのに女の子が準備完了するのはどうなのかと思いつつもククルについて部屋をあとにした。




