閑話1
閑話なので更新ではない(キリッ)
ここはキーフ族の炊事場。魔族が襲来する何日か前のお話。
「ねぇねぇ、族長が連れてきた人、気にならない?」
華奢で元気っ娘ルーンが話を振る
「身体は弱そうなのに突然堂々と予言したのは驚いたよね」
すらりと背の高いモデルのようなシークが応える。
「弱い人はお断りだけど、ギャップはよかったわね」
身体全体から色気を発散させる妖艶な美女ミストも同意する。
彼女らは村の中でもひときわ仲良しの3人娘だ。
「謎の魔法使いって感じがたまらないよね~」
「ふーん、ルーン気になるなら今夜誘ってみればいいじゃない。じゃないとミストに食べられちゃうよ」
「旅人みたいだし一族以外の男っていうのも刺激的でいいかもしれないわね」
ミストが人差し指を口に当てて、遠くを見つめる
「え、ボクはそんなつもりじゃ、でもミスト本気なの?」
うろたえるルーン
「ん~、最近はマンネリ気味だったし新しい風を呼び込むのはアリね」
「そっかぁ・・ミストがその気ならボクじゃかなわないや」
「ルーン!あなたのそういうところがよくないと思うのよ」
がっくりと肩を落とすルーンにミストが叱責する
「へ?何が?」
驚くルーン
「男達はあなたが思うほど胸の大きさなんて気にしていないのよ。問題なのはその自信のない態度よ」
「そうねぇ、気持ちから溢れる色気っていうのもあると思うわ」
ミストが説得力のある補足をする
「でもぉ。ボクだとダメって人たくさんいるし」
ルーンは半べそをかきながらいじける
「何をいってるの、あのリューヤンって人あなたに気があると思うわよ」
「よく見てるわねシーク」ミストがぱちぱち手をたたく
「でも旅人に声をかけるのは勇気がいるよぉ。断られたら笑いものだろうし」
その程度の説得ではルーンは踏み切れないようだ
「よし、わかったわ。じゃあ今日は3人でお相手して仲良くなれたら明日はルーンが1人で誘いなさいよ」
「え、シークとミストも一緒に来てくれるの?」
「親友のためなら仕方ないわね」シークがルーンにウインクする
「私も人肌脱ごうかしら」ミストも肩を露出させてほほ笑む
「いや、ミストはお手柔らかに頼むよ」ルーンが白い目でミストを見つめる
人口がさほど多くないこの世界では性に対して自由な傾向があり、複数で1人を落とすということはよくあることであった。1年のほとんどを一族としか接点がないキーフ族では余所者は格好の刺激となっていた。
3人がキャッキャと盛り上がっていると、金髪の少年が音もなく現れた
「3人方、お楽しみのところ悪いけど、リューヤンには手出し無用で頼むよ。まだ彼が魔族じゃないって確証はないんだ。万が一があってもいけないから僕の監視下に置いておくことにするよ。他の人たちにもこっそり伝えておいて」
女子の中でひっそりと進行していたリューヤンハーレムチャンスはエールの嫉妬100%の口出しにより崩れ去ったのであった。
もちろん、エールは偶然この話を聞けたわけではなく、村でもトップレベルの美女たちのことを日ごろから気にしていたがために防げたのだ。エールの女性への執念の勝利といえよう。
なお、ルーンちゃんは隠れファンが無数にいるものの、はじめてのお相手がルーンちゃんのガチファンすぎて緊張でアレがアレしてしまったためルーンちゃんは自分に魅力がないと勘違いしています。




