2章15
ククルの先導で俺は教会にたどり着いた。神子について聞きながら行こうと思ったが、すれ違う人にククルが話しかけられてそれどころじゃなかった。しゃべっている感じからして、ククルはマスコット的な人気者のようだった。
教会はなんと町の真ん中の広場にあった。広場の中でひときわ大きい建物が教会だったらしい。十字架も看板もついていないので前に通ったときには教会と気づかなかった。
入口を入るとチャペルのようなものがあり、先頭の台座には3人の男の像が飾ってあった。天に向かって祈るようなポーズだ。おそらく3勇者の像だろう。
「奥の談話室でおかけください。私はお茶を用意してまいります。」
できる女ピクシーがそう言って、チャペルの脇にある扉から別の部屋に向かう。
「リューヤンは私についてきなさい!」
なぜいつもドヤ顔なのかわからないが、俺はククルについていく。ピクシーが出て行ったのと逆側の扉を出ると廊下につながっており、その中の1つにククルが案内してくれる。中に入ると机といすだけが置いてある部屋だが、壁や窓がかわいく装飾されており、なんだか女の子の部屋に入った気分だ。
「適当に座っていいわよ」
「ありがとう」
俺はそういって入口近くの席に座るとククルが隣の席に座ってきた。
「ねぇ!リューヤンはどこから来たの?どうして<聖地オラクル>に来たの?」
隣にいるのに前のめりになってグイグイ来る。
「お、俺はキーフ族のエールってやつと旅をしてるんだ」
勢いに圧倒されつつ、目線が胸元に行きつつ、会話に集中できない俺。とりあえず当たり障りのなさそうな回答をする。
「あ、エールの知り合いなんだ、ふーん」
ククルが急にしょんぼりしだした。情緒不安定すぎる。エールとも知り合いなのか
「でも、エールと出会ったのはつい最近だから、大丈夫だぞ」
なにが大丈夫なのか自分でもよく分かっていないがとりあえず慰めてみる
「そう!じゃあ、わたしと仲良くするといいわ!」
急にご機嫌になるククル。この子チョロすぎない?大丈夫?騙されて痛い目にあうタイプのヒロインかな?
「ああ、よろしくな。ところでククルは神子なのか?神子って何するの?」
「神子は神様の祝福を受けた人のことよ!私みたいに綺麗な髪をした人がそうなの!リューヤンも見たことない髪の色で、その・・・素敵よ!」
顔を真っ赤にしながら褒めてくれて、恥ずかしくなったのか顔をプイっと横に向けている。なんだこのかわいい生き物は。ここが宿なら押し倒しているところだ。
「ククルも綺麗な髪をしてるよな。炎の魔法とか得意そうだ」
「わたし、魔法は苦手なの」
突然機嫌が悪くなるククル。いかん、地雷を踏んだか
トントン
ノックの音がしてピクシーが入ってきた。ナイスタイミングだ。




