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2章1


「よし、勝ったんだからお祝いだな」


俺は魔族との戦闘直後に戻った。なんだかんだ調停神の言うことは正しいと思うので、どうせ倒せない魔族との戦闘をやり直すより、掴んだ勝利を存分に味わう方が大切だろう。


俺は前回とは違い晴れやかな気持ちで戦後処理を手伝った。気のせいかもしれないが、キーフ族も俺がふさいでいた前回より明るくはしゃいでいるようだ。


あっという間に3日ほどが経ち、だいぶ復旧が終わったころ、エールが村人を招集して会議が開かれた。

前回はこんな会議なかったはずだが?


「皆さんお集まりいただきありがとうございます。相談役にはすでにお話してありますが、僕はリューヤンと旅に出ようと思います」


突然の宣言で村人達がざわざわする。俺もざわざわしている。旅?聞いてないんだが

ちなみに相談役はおじさまAのことだ。俺に相談すべきだと思う


「突然のことで驚かれていると思いますが、先の魔族との闘いで、僕は自分の力不足を痛感しました。リューヤンの作戦で撃退することはできましたが、正面から戦っていたら勝機はありませんでした。たった数秒組み合っただけで何度も死を覚悟しました。一族の使命たる魔族討伐において族長が手も足も出なくては一族の名折れです。それに、重症であろう魔族を取り逃がす失態まで犯したのですから本来なら今すぐ辞して詫びるべきでしょう」


エールの辛辣な自己評価に村人達はシーンとなる。


「しかし、私が詫びたところで時は戻りません」


俺が死ねば戻るけどな


「ですので、かつての勇者様達のように、過酷な修行をしながら仲間を集め、魔族を打ち滅ぼす旅に出ることにしました。リューヤンという予言師も現れた今なら、力を蓄えながら魔族を探し出せるでしょう。僕の代で一族の宿願を果たし魔族の時代を終わらせると約束します」


エールが落ち着いた声で宣言すると、村人達は盛大に拍手をし、激励を叫んだ。

後になって聞いた話だがキーフ族は魔族を討伐するために代々旅をしている。この世界では町から出ずに魔族からの被害をなるべく抑えることが常識らしいが、キーフ族は魔族を討つことを明確に目標に掲げる由緒ある一族とのこと。遥か昔には勇者と共に魔族を討ったこともあるそうだ。



緊急会議が終わると、あれよあれよという間に旅立つことになった。展開早すぎない?

俺個人としてはキーフ族(主に女子)と親交を深めて、幸せな家庭を築いてもよかったが、俺の意思とは関係なく旅支度が整えられていく。俺が行きたくなさを醸し出しつつ準備をしていたら、お気に入りのあの子が手を握って「頑張ってください」と言ってくれたので「必ず魔族を倒して戻ります」とか返してしまった。もはや後戻りできない。


支度を終えた俺とエールはとりあえずの目的地として、最寄りの町〈聖地オラクル〉を目指すことになった。




エール・ルドヴィクスが仲間になった。




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