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1章終


『本題だが、魔族討伐をやり直すのは止めた方がよかろう』


「え、なんでですか?」


俺は魔族を倒すためだけに、はじめて意図的に死んだ。

撃退は過去最善の結果だったが、最高の結果は魔族を殲滅することだろう。


魔族が落ちる場所や逃げる先が分かれば、大けがを負っているであろう魔族を倒すことができるはずだ。

そう、やり直せば最高の結果を得られるかもしれない。その為には死ぬ必要があった。

今まで結果的に死んでしまうことはあったが、自ら死にに行く決心がつかずに村では鬱々としていたのだ。


『例え手負いとはいえ、今のあの村の者達では歯が立たぬ。諦めよ』


適当女神が横で"ねーねーひどくないですか~?"と調停神に絡んでいるが完全に無視している


「前も同じようなこと聞きましたけど、俺にアドバイスするのは何でですか?」


俺は真面目な顔で調停神に質問しながら、適当女神を抱き寄せて、うんうんと話を聞いてやる。可愛い。

調停神はムッとしながら答える。


『我は調停を重んじる者。すなわち平穏、安定、静寂を求める。予定調和を目指すと言えばわかるか?我はお主に常識を教えておると思え』


「んーなんとなくわかったような。わからないような」


"半ちゃんは予測できないことが嫌いなんです~でも、それだとつまんないですよね~"


適当女神がしなだれながら教えてくれる。

俺は適当女神の頭をなでながら返事を返す。


「つまり調停神様は、会心の一撃とかで魔族が倒されちゃうと困るから止めたいってこと?かな?ちょっと違う?」


『お主の認識で間違ってはおらぬ。だが、いくらお主の思い通りの展開を再現できたとしてもスライムがドラゴンを倒すまで際限なく挑み続けておっても不毛な戦いだと思わぬか?』


調停神は嘲るかのように話す。スライムもいるんですねこの世界


「あー・・どうせ倒せないから足掻くのはムダってことですか」


あれだけ努力した後に端から倒せないと言われると、なんとなくイライラして腕に力が入る。適当女神は"わっ"と小さな声を出し俺の胸に顔をうずめる。


『うむ、先にも申したとおり、現実を見よということだ。我は元より、お主を元の世界に返したいと思っておるからな。転移して1週間をうろうろしておらず、進むべき道を見定めて物語を進めよ』


"でも~リューヤンさんを呼ぶまで時間を遡れるなんて知らなかったですし~チャレンジは大切ですよ~"


俺の腕に包まれながらクルッと回転して顔を出した適当女神が話す


「え、死に戻りって偶然できたことなんですか?」


『うむ、まあ死を克服させようとして、結果的に、な』


歯切れの悪い調停神


「全然予定調和にできてないじゃないですか」


『やかましい!とっとと戻って先を目指さぬか!』


調停神がそう言うと、視界がぼんやりしてきた。


しまった!こいつ沸点低いんだった。あと、調停神も俺を飛ばせるんだな、適当女神だけだと思ってた。


適当女神ともう少し親交を深めたかったが、こうなってしまってはされるがままに飛ばされるしかない。


俺が名残惜しそうな目で適当女神を見つめると


"今度は半ちゃんと会いたくないな~って思いながら来てくださいね"


適当女神がこっそり俺に耳打ちすると視界が切り替わった

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