序章2
「俺の能力ってなんですか!?」
転移ギリギリで投げかけた質問に女神からの返答はなく、気づくと俺は森の中にいた
「えー・・・まじか・・・」
人類を守るために戦うことはなんとなく理解できたが、具体的なことは何も聞いていない
しかも一般的高校生がいきなりサバイバルとか無理ゲーにも程がある
「チュートリアルと言いつつ世界の設定しか聞いてない件について」
困りすぎてムカついてきた
「まぁ異世界ファンタジーときたら、ステータスオープン!、、メニュー!、、ログアウト?、、ちがうか。ファイアー!ウォーター!サンダー!・・・これで最後だファイナルアタァァアーック!!!!・・・ふーっそっちのタイプの異世界か」
異世界で思いつくことをひとしきり叫び終わると怒りも動揺も少し発散された気がする。
どうやらこの世界は簡単にステータスとかを確認できるわけではなさそうだ
ギルドでしかステータスが確認できなかったり、魔法は魔術本を読んだりしないと覚えられないタイプの異世界かもしれない
一旦落ち着こうと周りを見渡すと近くにいい感じの切り株があったので一旦腰を下ろすことにした。切り株の根元には見るからに毒だとわかる真っ赤なキノコがくっついていたが、触らなければ問題ないだろう
「テンプレどおりなら近くに村があって、軽い事件を解決する流れだろうけど」
まわりをキョロキョロしながら、行くべき道を探していると遠くに煙のようなものが立ち上っているのが見えた
「あれは、もしかして村か何かかな?少なくとも山火事ってわけじゃなさそうだし、行ってみるか」
太陽の高さから考えるとまだ昼前後の時間だと思うが、夜までには人のいるところにたどりつきたい。俺はとりあえずの目標を決めて森の中を歩き出した
1時間程で煙の出どころが見える場所に到着することができた。どうやら村に続く街道に出たらしい。
「はー、やっと見えた。やっぱり村があったな」
村までまだ数分は歩かないといけないが、遠目で見てもテントのような家屋がいくつか並んでいるのがわかる。正直めちゃくちゃ疲れたので、早く休める場所にいきたい
実はこの1時間の間に、木々で視界が遮られるせいで煙を何度か見失って迷ってしまった。
木に登ってみたり、来た道を戻ったりしてなんとか辿り着くことができたが、唯一の道標である煙が見えなくなっている間は不安で疲労が倍増した
この街道にまっすぐ辿り着いていれば15分程で到着できた距離かもしれない。まあ結果的にたどり着けたので良しとしよう
俺が安堵しながら村に向かって歩き出そうとしたところ、突然背後から怒鳴り声がした
「¥%〆5*€9+・%1€〒」
「は?何て言ってんの?」
そう言いつつ振り返ると木の影から怖い顔で鋭い槍をこちらに向ける青年が現れた。髪はきれいな金髪でワックスでもつけているのか刺さりそうなほどツンツンしている。背は俺より少し低く華奢な体系で、民族衣装のようなものを着ている。年は1つか2つ年下くらいだろうか。そして結構なイケメンだ
「あーとりあえずその槍をしまってくれませんか」
俺は両手をあげて戦闘の意思がないことを示そうとしたところで
金髪少年は般若のような顔つきで、俺に向かった飛びあがり
グサッ
金髪少年はいきなり俺の喉を槍で突いた
「ぬわぁあああああああああああ」
俺は突然の痛みと恐怖ですでに機能を失った喉から声とも呼べない叫びをあげる
完全に恐慌状態に陥った俺はさらに腹を蹴飛ばされ、仰向けに倒れこむ
同時に槍が抜かれた喉から大量の血が噴き出る。槍を抜く反動を使って蹴飛ばされたようだ
もはや絶望と恐怖に支配された俺はそのままピクリとも動けずにいると、金髪は険しい顔のまま近づいてきて俺の心臓を一突きした。
俺はそこで息絶えた。