表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/98

1章13


2度目の異世界村スローライフはいたって順調だった。

暮らしに必要な情報も仕事のやり方もわかっており、村人達(男性に限る)とは良好な関係。


順調な暮らしの中で、やはり気に掛かるのは魔族の存在。俺が村について1週間後の夕方に村人を皆殺しに来る。前回は総力戦で敗れたし、なんとかして魔族を倒す方法を考えないと。


とりあえずは、村人達に情報共有するところからがスタートだと思い、3日目の夜、テントの中でエールに事情を説明する。説明すると言っても言葉では難しいので、美術の5段階で2評価の俺の画力を存分に用いて、手から火を出す人型がテントを燃やす絵を地面に書いて伝える。その横には四角を7つ並べて書き、そのうち3つに×を書き入れる。


ジェスチャー込みで、あと4日でテントを燃やす何かが来ることは伝わったようだ。エールは最初疑うような目で何度も同じことを聞いてきた。「4日後、こいつ、テント燃やす」そんな感じで絵を指さしながら俺が理解できそうな話し方で確認してくる。確認が終わると、そのまま眠りにつくことになったが、エールは途中からずっと深刻な顔つきをしたままだった。



翌日、早朝からエールがテントを出て行ったかと思うと、朝食後に広場で緊急会議が開かれることになった。村人全員が参加しているよう。今までおぼろげに把握していたが村人は全部で30人ほどだった。女性の方がやや多い


エールの声掛けで集まったからなのか、座長はエールのようで、村人達に事情を伝える。

何人かが発言して、エールと軽く言い争う。しかし最終的にエールに説き伏せられたのか、悲壮感を漂わせて座り込む。おじさま達はエールと同じ考えのようで難しい顔をしながら議論を見守っている。

皆が不安な顔をしながら、ちらちら俺の方を見てくる。


村人達も魔族の強さを知っているのだろうか。勝てないのならばテントを引き払って逃げてしまえばいいと思うのだが、雰囲気的にここで迎え撃つつもりのようだ。


そういえば、魔族はどうしてこの村を襲ってきたのだろうか?

今までは村人と同じタイミングで殺されてしまったため、魔族がどうしてこの村を襲ったのかわからなかった。もしかしてエールたちって聖霊とかお宝を守る一族なのか?俺も2回とも魔族に殺されてしまったので、魔族の目的がいまいち見えない。


だが、村人達は何か確信するものがあったのか、会議の後から生活が一変した。


まず、おじさまBが1人で村を発った。街道を駆け抜けていったがどこに行ったかはわからない。次に、おじさまAが村人を男女を均等に3チームに分けて、男性には武器を持たせて出発させた。女性は魔法だけで戦うようだ。村にはおじさまAと俺だけが残った。


どこに行くのかと思ったが村人たちは夕方になると村に帰ってきた。魔物の返り血を浴びている様子から、狩りをして帰ってきたように見える。


その後水浴びをするが、いつものキャッキャウフフ感はない。淡々と作業を進めているように見える。



それから毎日ほとんどの時間を村人たちは狩りに出ていた。村人たちはヘトヘトという様子で帰ってきたが、文句を言うものは1人もいなかった。おじさまBは初日に出て行ったっきり戻ってこなかった。


俺はおじさまAと水を汲んだり、食事の用意をしたり、狩りに出ている村人達の代わりにせっせと雑事をこなしていた。おじさまAは、2人でいる時間が長いせいか、言葉を教えてくれたり槍の振り方を教えてくれた。その時間は、親から何かを教わっているような、こそばゆい感覚と一緒に魔族の事でぴりぴりしている俺の心を穏やかにしてくれた。



そうこうしているうちに、あっという間に7日目の昼過ぎとなった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ