1章7
「やっと村が見えてきたな、でもどうやったら村に入れてくれるのかな」
あの村に近づいた時の金髪の俺への反応
・槍で喉を一突き
・家の中に拘束軟禁
・芋もちを与えて追い返す
「んーーー?1番まともに会話できてたのが捕まってる時とかオカシイだろ」
「そういえば、最初に立ててた目標が意外と正しかったのかな?金髪に追い返されて中断しちゃったけど、初志貫徹してた方が実は無駄な苦労しなかった説あるな。少なくとも鳥に惨殺されることはなかったはず」
俺が最初に立てた目標がこちら。
1.村人と仲良くなる
2.魔族の倒し方を調べる
「よしっ今回はなんとしても村人と仲良くなろう」
そう考えながら村に近付くと、見たことある細マッチョ達が近づいてくる。おー、あれはいつぞやのおじさま達。やっぱり警備員的なポジションなのかな
おじさま達は警戒しているようだから俺の伝家の宝刀を抜くときが来たようだ
「お腹減ったのでご飯ください」
ふっ またも会心の一撃が出てしまったようだ。おじさま達はキョトンとして2人で顔を見合わせている
二言ほど2人で会話したかと思うと、槍を突きつけて何か怒鳴っている
「これ、どう見ても出て行け的なことだよな」
おそらく時刻は3時過ぎごろ。おやつを食べる習慣はないようだし、この時間にお腹減ったっていうのはおかしかったか・・
おじさま達から少しずつ後退りしていると、森の中から見慣れた髪の毛のやつが現れた。金髪だ
金髪はおじさま達に何かを話しかけている。おじさま達は驚いた顔で俺の方を見て、金髪に何か反論している。
しばらく口喧嘩のように話し合っていたが、どちらかというと金髪が押していて、おじさま達を叱っているように見えなくもない
なんだ?どういう関係?
話が終わると金髪が俺を手招きしている。手のひらを上向きにしてクイクイってするアメリカンスタイルだ、ちょっとカッコいい。
そのまま付いていくと、金髪のテントに案内された。この世界で1番長く滞在した住居なだけにただいま感がある
テントの中央に金髪が腰を下ろしたので、俺も向かい合うように座る
金髪は少し考えて何かを話し始める。さっぱりわからんけど
俺が頭からハテナマークを出していると、金髪はため息をついて自分を指差して何か言った
「エール」と
そして俺の方を指さす。ん?あー!名前?名前かな?
「竜矢!竜矢だ!」
「リューヤン」金髪は満足気にうなずく
「いや、違う、竜矢だ」
「エール」金髪は自分を指しながら、うんうんと名前を返す
「ちがっ、え?この世界ではリューヤンがデフォルトなの?俺のアイデンティティは?」
俺が戸惑っていると、金髪は何かを思い出したのか俺の足元を指差し、何かを言うとテントを出て行った
待ってて的なことだと思うが、聞き間違いじゃなければ意味がわかる単語があったぞ
少しすると金髪が満面の笑みで芋もちを抱えて帰ってきた
「いや、確かに腹減ったって言ったけど!」
村の入り口でのやり取りをおじさま達から聞いていたのか、金髪が食事を持ってきてくれた
仕方なく芋もちをはむはむしつつ、金髪と友好的な関係が築けそうで少し安心した俺であった




