1章6
VS鶏
「あの鳥ぜってぇ許さん!!」
俺はむしゃくしゃした腹いせにキノコを滅多刺しにしていた。今度は体液がかからないように注意している。
「あと、あの半身達もぜってぇ許さん。セーブ&ロードとか言って、死なないとロードできないじゃないか。2つの能力とか言って死に戻り1と死に戻り2じゃねぇか!実質能力1個だけじゃねぇか!」
どうして俺がここまでブチ切れているかというと、あの鶏のせいだ。今までの死に方の中で断トツワースト1位だった。想像してみてほしい、ナイフで刺しては様子を見て、またナイフで刺す。それを死ぬまで繰り返される痛みは尋常ではなかった。
「焼け死ぬのが一番つらいとか聞いたことあるけど、全然そんなことなかった。時間をかけて死ぬのが一番つらい。マジで許さん」
そこから俺の鶏への復讐が始まった。
Take1 投石作戦
キノコで成功したチマチマ作戦。だが、鶏はちょこまかとめっちゃ避けるし、身体にあたっても羽毛的なのに弾かれてイマイチ。石を投げ疲れたところで足をやられて、幻覚コンボを喰らって死亡。鳥と遭遇する直前に死に戻る
Take2 正面から殴り合い
悪くない。悪くはなかった。攻撃はある程度当たるんだ。でもやっぱり羽毛に阻まれる。多少ダメージは与えられたが、鶏に軽い怪我をさせるまでにこちらはキズだらけだ。割に合わないし、めちゃくちゃ疲れてめちゃくちゃ痛いからもうやりたくない
Take3 カウンター作戦
幻覚だけに気を付けて、相手が攻めてきた隙をつく
後の先で無傷で鶏を削り倒す
・・・カウンターは決まったけど、構わず刺してくる。カウンターっていうのは相手を弾き飛ばす攻撃力か、相手の攻撃をかわす俊敏さがあって初めて成り立つのだと学んだ。クソが
Take4 無視して村を探す
強敵は村で強い武器を買って倒せばいい。鶏は無視してガンガン進む。移動している限り鶏は積極的に攻撃してこず、なんとなく付いて来るだけだった。
コレ行けるのでは?と期待しつつ、しばらくはいい感じで進むことができた。だが、この作戦もダメだった。逃げ続けていたら2匹目の鶏が現れた。挟み撃ちで積みゲー
「やってられっか、馬鹿野郎!」
めちゃくちゃ辛い死に方を4度も体験した上に、攻略の糸口がまったく見えず俺は荒れていた。
「あの魔物強すぎだろ!何回やり直しても勝てる気しないんだよ!というか、もうあいつに殺されるの嫌なんだよ!」
意味もなく木を蹴りつける。足が痛むが、気にならないくらいイライラしている
「一般高校生がクリアするの無理ゲーすぎるだろこの世界。あの鳥だけでも100回戦って100回負ける自信あるわ。」
「・・・・・ん?100回?あれ?」
なんか聞いたことあるような、100回死ぬ?
『あの村を出るまでに100度の死では足りぬだろうし』
調停神が大笑いしてたときのセリフを思い出した。
フラグを無事回収して、俺も小説の主人公の仲間入りだ!あのときイラっとしたから偶々覚えてただけだけど、ありがとう俺の記憶力
「あいつ、確か村を出るまでとか言ってたな」
俺は顎に手を当てて考える
「つまり、村を出るのが最初のクエスト?ストーリー?かなんかなんだ。自力で他の村に行こうとすると、絶対にあの鳥に勝てないから、村で何かをする必要があるんだ」
「そういえば金髪たちは強そうな槍もってたな。村でおつかいクエストとかクリアすると槍が手に入るとか?槍のリーチと攻撃力ならあの鳥も倒せそうだし」
一気に視界が開けていくような感覚になる
「よしっ村で槍を手に入れる。鶏串刺し。俺、焼き鳥喰う」
鶏の魔物が食べられるか不明だが、焼いて喰ってやれば少しは気が晴れるかもしれない
「そうと決まれば村に戻らなきゃだが、歩いて戻るか?いや、キノコで爆死?いやいや、あれも一瞬だけどめちゃくちゃ痛かっただろ。徒歩だ徒歩。デスルーラなんてやらんぞ」
俺は金髪の村に戻ることにした