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1章4

雑魚敵ですぐ死ぬ系主人公


「うわっ!しまった!」


気づくと俺は4度目の森の中・・ではなく、木の棒を持ってキノコと向かい合っていた


調停神が言っていたセーブ&ロード的なやつだ。安易にキノコに殴りかかったことを後悔しながら死んでしまったので、そのタイミングに戻ったようだ。意図的に戻ったわけではないが、セーブ&ロードの感覚も何となく掴めたので、結果オーライとしよう。


それよりもこのキノコ初見殺しすぎるだろ。普通最初に出てくるザコ敵ってスライムとかゴブリンとか、初心者でも楽勝な相手じゃないのか?どうして火だるまにされなきゃいけないんだ


「まあでも、即死の火炎をバンバン打ってくる魔族と比べたら全然大したことないし、このキノコ野郎め」


俺は3度目の死にして少しやさぐれていた。確実に生き返ることがわかったので、死への恐怖は薄らいだが、身体を焼かれるのはめちゃくちゃ辛い。何せ死ぬほど痛いんだから。


よし、キノコ野郎に早速リベンジだ。さっきはいきなり殴りかかったのが良くなかった。俺はキノコの頭に警戒しつつ、一定の距離を保ったまま観察する。


キノコはじりじりとこちらに近寄ってくるが、そのたび俺は距離を取る。キノコはそれ程素早くないので、軽く逃げ回るだけで追いつかれなかった。そして平和なやり取りを経て、俺は確信する。


「こいつ遠距離からは大したことできないな?」


さっき殺られたときに飛ばしてきた火球は手のひらより小さいサイズだった。当たったら火傷するだろうが、何十発も喰らわないかぎり死ぬことはないだろう。あれは攻撃用ではなく引火用なんだ。


そうと分かれば


「オラッ!ホレッ!くらえ!必殺のーっ!あ、外した」


俺はキノコから逃げながら、足元に落ちている石ころを投げつけた。

石が頭に当たると粉を噴き出して跳ね返るだけだが、体の部分には当たったところから紫の体液が流れだしている。あれがあいつの血か?正直言ってめちゃくちゃキモい。

それに絵面的には亀をいじめる子どものようで悪いことをしている気持ちになってくる。あと、これで倒せるのか疑問でもある。少なくとも物語の主人公はこんなことしないな


・・・えーい、なるようになれだ


俺は意を決してキノコに向かって木の棒を構えた。さっきと同じ失敗はしないぞ

キノコの頭の動きに注意しつつ、俺は向かってくるキノコに狙いをつけて


「死ねー!」


叫びながら木の棒でキノコの顔らしきところを思い切り突いた


キシャァーー


キノコは叫び声を上げながら顔から大量の体液を吹き出した。キノコがひるんだように見えたので、俺は何度も滅多刺しにした。キノコは木の棒が突き刺さる度に体液を吹き出し、いずれ動かなくなった。


「よっしゃああああ!リベンジ成功!」


祝・初の魔物討伐。魔物は宝箱とかお金も落とさず、普通に死体として転がっていた。なかなかエグい


「あっでもミスったな」


失敗というのは後になってから気づくものだ


「はじめて魔物倒した決め台詞が「死ね」はないな、さっきのところからやり直そうかな?」



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