昔語り
「にしてもこれは酷いな…日本の大地震を思い出すよ」
険しい顔をして瓦礫の山をグリートは見ていた
「見たことが?」
朝山がグリートに意識を向ける。少しだけ間が空いてから、グリートは喋り始めた
「あぁ。トモダチ作戦で近くを航行中の時にな。こことは違う感じの雰囲気だった」
「確かにあそこは違う雰囲気でした。瓦礫が上に積もったというより、流されて均等に均されたようした」
「その通りだよ。これは建物が耐震設計が本当になされていない。だから細かく崩れてしまった」
グリートは精神を落ち着かせようとポケットに入っている肺が真っ黒の写真が貼ってあるアメリカ製のタバコを出したが、中身が空っぽだった
「タバコあるかい?」
「どうぞ」
朝山はポケットからダークブルーのタバコを取り出してグリートに1本渡す。するとグリートはタバコの箱をジッと見ていた
「1箱分くれないか?」
「いいですよ」
「いいのか?」
「ええ。私はタバコは吸わないので」
グリートに先程のタバコを箱ごと渡す。するとグリートは不思議そうにしていた
「なら、なぜタバコを持っている?」
「紛争地やだった場所では金ではなく物々交換が主流です。なら、娯楽品であるタバコや酒は食料や情報と交換できるので、我が隊員では所持は許可しています。まぁ、吸うのは地上でですが」
グリートは一瞬目をピクつかせて少し考えてから話た
「つまり、私に何かやれと?」
「…察しが良すぎますね。そうです。やってほしいことがあります」
「何をだ?」
「瓦礫から民間人の救助が完了した後、兵士を住民に近づけさせないでください。つまり、後方支援に重荷を置いてください」
「何故だ?自衛隊よりアメリカ軍の方が多いではないか」
「戦争時、戦争国の住民に対して凌辱したことは知っています。日本はそれに関して上が報道規制を敷いたおかげで世の中には出なかったようですが、ネットでは一瞬だけリークされた時に見ていた隊員がいたんですよ。まぁ、それもそちら側が日本に言って揉み消した様ですが…」
なんということだ…そんなことを我が祖国の兵士がやっていたとは…
初めて知らされた事実に、グリートは汗が出てくる
「わかった…撤去完了時兵士を下がらせる…」
「ありがとうございます。後にクラスト王国の娼館を紹介します。暁二佐も了承してくれてます。金は経費で出ますので、勧めといてください。それと、コンドームは絶対に着用しておいてください。そして…このことは全員に悟られないように」
朝山は180°回り、隊員のところへ向かった
「はぁ〜…全く日本人は…」
タバコに火をつけて口へ運び、大きく吸ってから吐いた
「…うまいなぁ」
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