反感
「ん…朝か…。少々早起きしてしまったな。にしても…腕が痺れた…」
朝起きると2人が暁の両腕を独占してガッシリと体にしがみついて身動がとれない状態だった。開放されたのはそれから1時間のことだったのである。朝食をとり、ブラッド帝国防衛作戦のため全員を研究所の巨大ホールに招集した。無論、朝山館長とグリート艦長も一緒だ
「今回、ブラッド帝国から侵略されると我々に懇願してきた。これは、ブラッド国民の人名を助ける作戦だ。だが、我々の命も換えが利かない。そこで、地上作戦部隊は無人機、航空支援部隊は艦砲、又はミサイル支援になる」
周りが静かになる。いや、静かすぎたのだ。日本人自衛官のやる気には満ちているのは半分。もう半分の日本人自衛官は違うやる気を放っていた。その違和感はすぐにわかった
「…nでだよ」
「ん?なんか言ったか?」
「何で俺たちが危険なことをしなくちゃなんねんだよ!!!」
なるほど…。違和感の正体はこの反発か…
暁は動揺せず質問に答える
「我々は何のために存在する」
「は?」
「我々は何のために存在すると聞いたんだ」
「日本国民の為だろ。だからってこの世界の人間を救う理由にはならねぇよ!!!」
「それは最もだ。だが、前に君たちも見ただろう。一般人がこの世界に拉致されているのを。だから我々日米幹部は話し合い、安保条約を結び、日米民間人を助け出すと。その為、分かり会える国が欲しいんだ」
「だからって俺たちの命を危険に晒すなよ!!!」
「黙れ!!!もう昔の日本みたいなことを言うな!!!我々の存在意義は生きること!そして、民間人の救助だ!そんなニートみたいなことをグチグチ言うな!そんなに言うなら辞めちまえ!!!」
日本は2025年までは平和になっていた。だが、ある国がNATO加盟国に手を上げ戦争に発展。日本もその戦争に乗り出したのだ。無論、裏ではアメリカの圧力があった。その結果、仕掛けた国が大国なために制圧に時間が掛かり、何十年も掛かってしまった。その間、日本は戦争反対のプラカードを掲げていた人々は次第に戦争を武力で終わらせろと掲げた。今では戦争は終息したが、戦争は人を変えるとよく言ったものだ。民衆は大型護衛艦の建造をして他国からの侵略をさせるなと歌い出した。それが結果的には政治にも関与され、「命大事に戦え」だった日本が「危険も考慮して戦え」に変わって行ったのだ
男は何も言えずにいた。ここで辞めれば金はあるが尽きた時仕事が限られる。結果的に冒険者ギルドに登録し、剣と盾で戦闘する羽目になるからだ
暁は黙ったままの男に向けて優しく声を掛けた
「まぁ、君等のストレスもわかる。突然この様な世界に連れてこられたのだ。いつ帰れるのか不安にもなる。だから我ら幹部が奮闘し糸口を見つけるのだ。そこだけは約束しよう」
「クッ…ウヴ…」
男は膝から崩れ落ち、静かに泣いていた。後々部下に聞いた話によると、転移前妻が出産したと連絡があったらしい。直後に転移したので精神的に来るものがあるだろう…。残りの不満を持った隊員や米兵もほぼ同じ理由らしい
暁は全員に作戦を言い、明日には部隊を展開させることを伝えた
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