表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/7

5 依頼達成と報酬!

冒険者ギルドの隣にある、解体場にティナと一緒に足を運ぶ。

中は厨房のような感じで、エプロンを纏った五人が、大きな包丁で魔物を解体している。


ここにはゴブリンの耳を確認してもらうためにやって来た。

丁度、目の前で魔物の解体を終えた、髭の濃いおじさんに声をかける。


「こんにちは~。魔物の確認、お願いします」

「……こ、こんにちは」


おじさんはこちらを見ると、近くのテーブルを指差す。


「はいよ、そこに置いといてくれ」


言われた通りに、テーブルの上に背負っていたバックを置く。


「……よいしょっと」

「ありがとさんよ」


おじさんは額を垂れる汗を、首に巻いているタオルで拭う。

彼はまんまるな体格であり、筋肉がムキムキなので、つい熊を連想してしまう。


そんな事を考えていると、おじさんはバックを開けて、中身の血生臭いゴブリンの耳を取り出す。

ざっとそれらを見ると、紙とペンを取り出して文字を書く。


「ゴブリンの耳が九つだな。はいよ、証明書だ」

「ありがとうございます」


そう礼を言って、おじさんから先程の紙を受け取る。

解体場から出ると、ティナが知りたそうに聞いてくる。


「あ、あの……証明書って何なんですか?」

「ちゃんと魔物を討伐しましたっていう証かな。ちなみに、薬草とかなら受付で対応できるけど、魔物の死骸は解体場じゃないと駄目なんだよ」

「そ、そうなんですか」




冒険者ギルドに戻ると、出払っているのか冒険者の数が少ない。

本来、今の時間帯はお昼過ぎのため、帰ってきた冒険者で賑わっているはずだ。

疑問に思いつつも、ふと受付にいるターニャを見る。


すると、何故かターニャはヘトヘトになっており、疲れているようだ。

いつもは元気いっぱいなのに、珍しいなと思いながら声をかける。


「ただいま」

「……た、ただいまです」

「お帰りニャ~」


ターニャは元気のない声で返事をした。


「思ったより早かったニャンね。成果はどうだったニャ?」

「はい、これ。……っあ、あとこれもお願いね」


そうターニャに証明書と、薬草を渡す。

実は、運が良い事に帰り道で薬草を見つけたのだ。

薬草は依頼を受けていなくても、買い取って貰うことができる。

だが、買い取り価格は依頼に比べると少額だ。


証明書を見ていると、ターニャの顔色が明るくなっていき、元気が戻る。


「ニャニャ、ゴブリンを九体も倒したニャンか!? 凄いニャ!」

「そうでしょ、ティナがぱぱっと倒しちゃったの!」

「……ん? イリシャは倒してニャいの?」


ターニャの問いに、自信を持って誇らしげに答える。


「ふふん、聞いて驚かないでね。何と、ゴブリンを一体倒したのよ!」

「……凄いニャ! やっと魔物を倒せたニャんね、大成長ニャ!」


ターニャは自分の事のように喜んでくれた。

今更だけど、数年間に渡って冒険者をやってきたが、今回倒したゴブリンが初めて討伐した獲物だった。

先程は、欲をかいて一匹だけかと嘆いていたが、実はとんでもない大戦果だったのだ!


調子に乗った私は、腕を組んでティナを見る。


「うんうん、これもティナのおかげよ」

「い、いえ、私は何も……!」


ティナは謙遜するが、顔は正直なようで嬉しそうだ。

ターニャはどこからともなく硬貨を取り出し、目の前のカウンターテーブルに置く。


「じゃ、これが討伐報酬ニャ。それと、こっちが薬草の報酬ニャ」


硬貨の数は銀貨二枚だった。

予想していたよりも多い金額だったため、思わず目を疑ってしまう。


「銀貨二枚……!」

「や、やりましたね……!」

「うん、これで何とか今日は野宿せずに済んだね! これも全部、ティナが一緒にいてくれたからよ、本当にありがとうね!」


高揚した喜びが押さえられず、我慢できずにティナに抱きつく。


「ちょ、ちょっと、抱き付かないでください。……ほ、他の人も居ますし、は、恥ずかしいです……!」


と言うものの、ティナは抵抗しなかった。


「目の保養になるニャ~♪」


ターニャは肘をカウンターテーブルに付き、両手に顎を乗せて、気持ち良さそうに微笑んでいる。


そんな時だった。

ある一人の最低なクソ野郎が、心地よい雰囲気をぶち壊す。


「おやおや、こんな所にいたのか。お子ちゃま」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ