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であい

5話 出会い

「、、、親父!」

おぼろげな過去の記憶。これもまた親父を人か植物かわからぬ存在にしてしまった原因なのだろう。

リマ:「再生は以上です。」

この寝言は例のテロの翌日から度々発生していたようで、たまたま面会に来た父は酷く狼狽していたと看護士が言っていた。


相変わらず生きてる。仕方ない。

俺は準備を済ませると、喫茶「電光石火」へと向かった。

ーーー

時刻は10時を少しまわったところ。

カラン

南:「いらっしゃい。」

落ち着いた赤レンガの外観、中はメタリック。中世と近代の調和がある喫茶店。マスターらしきその人は落ち着いた様子でグラスを拭いている。

黒っぽい服に茶色のベスト。ショートで赤い髪を、昔流行ったシチサン?という髪型にしている。身長は175cmくらいか。

 「どうも」

メニューは?っと。

どこからかカードが飛んでくる。ホログラムでメニューが表示される。

 「ホットコーヒーください。」

ん?聞こえないのか?

 「ホットコーヒー!」

聞こえないのかこのおっさん、、、

 「なぁっ!」

さっきより大きな声が店に響く。

もちろんある程度の常識はある。店には誰もいないことは確認済みだ。

南:「さっきからうるさい方だ。注文ボタンを使いなさい。」

 (何様だよ。こいつ。)

ホログラムを操作して俺は注文した。

メニュー:承知しました。  ホログラムは画面を変えた。

カチャン、シュー、奥で音がし始めた。

おっさんが作るんじゃないのかよ!

メニュー:まもなくお持ち致します。 ホログラムはカウントダウンを始める。

オートレストランと同じ形なら、おっさんいる必要あるのか?

 「あんたいる意味あるの?」

気づいたらどうせ聞こえないだろう南に向けて呟いていた。

南:「君は何も見えてないようだね。」

カチンと来た。

 「客にそれは如何かと思いますよ?」

精一杯の丁寧さを心がけて俺は言った。

南:「君がいつ私の客になったのかい?」

おいおい、ボケてんのかこいつ。

 「メニュー頼んだろうよ。」

南:「君は、何も見えてないようだね。」

南はグラスを起き引き出しからそっと眼鏡を差し出す。そして何事もなかったようにまたグラスを拭き始めた。

南:「それは色眼鏡という。私たちの発明品だ。つけてみなさい。」

俺は普通?いや、昔ながらの眼鏡をどうつけるか悩みつつ、少しヘンテコな付け方をして、少し笑われた。南に付け方を教わり、曲がった部分を耳につけ、色眼鏡をすることができた。

そして、世界が変わった。

南:「どうかい?」

 「なんだよこれ。」

いろんな色の文字でwelcome nishi's coffee と書いてある。

メニューの頼み方についてもだ。

そして南の周りには赤い色が漂っている。

南:「珍しい来訪者のようだ。君はどうやってここに来れたんだい?」

先程とは全く違う、鋭い視線がこちらへと向く。

南:「バーチャル看板はでていないはずだが。」

南はとぼけた口調で付け加えたが、先程までと違い赤い色が炎のようになっている。

 「「電光石火」を調べた時に秘書AIが教えてくれたんだ。」

南:「そうか、Eの紹介か。」

ガタッ!

色眼鏡での動揺もあってか俺は立ち上がって聞いていた。

 「なぜその名がでてくる!?」

南:「予約の方だろ?」

 「あぁ。」

俺はしゅんとなり席に座った。

だが、座るとすぐふと疑問が湧いた。予約はリマがしただけだ。Eとの会話でこの店に行くことがでるはずもない。

何者だこいつ。


6話 南

南:「非礼を詫びよう。すまない。どうやら私のお客さんだったようだ。」

 「俺は最初からお客さんだったはずだ。」

南:「いや違う。君が注文したのはwelcome nishi's coffeeだ。ここはオートレストラン「welcome nishi's coffee」と私の「電光石火」の複合店舗だからね。」

 だからここをみつけるのに手間取ったのか。

 「なるほど、で、えー、南さんはどんな商売を?」

俺はとっさに昨日のリマの会話からオーナーの名前を思い出して話した。

じゃないとnishiさんの店の説明をされると思ったからだ。

南:「喫茶店さ。」

折角思い出した脳の頑張りを返せ。。。

南:「表向きはね。」

南:「私たちは人の色に関する研究を行っている。そして仲間の研究者たちと作った組織の集会をここで行っている。」

 「なんか、秘密結社みたいな物言いですね。」

色の研究者は、一部の謎めいた学校で鞭を振るうことが多く、人体実験も可となっており、政治や、プライベートトレーニングなど重要人物の情報も持つため、個人の特定を防ぐ意味合いでコードネーム(Eなど)で活動している。

南:「そんなようなものだ。だから表向きは西のカフェとしている。そして私のお客さんにも西のオートレストラン機能でもてなしをしている。」

 「なるほど。じゃあ西さんも研究者なんですか?」

南:「いや、西は免状のない私たちの数少ない同士だよ。」

 「同士。どうしてそんなにひっそりと行う内容を俺に簡単に話してくれるんですか?」

南:「どうしてだろうね。君は信頼できそうだと思ったから。かな。」

南はにっこりと微笑み、拭いていたグラスを棚へと戻した。

 「俺が密告したりとか、思わないんですか?」

南:「誰に。」

 「勤務先とか!」

南:「それは困るな。消さなければならない。」

冗談には聞こえないが本気さのない言葉で南は言った。

 「消すって殺すってことか?もしかしてあのテロもあんたたちの仕業だったのか?!」

俺はカウンターを叩きながら問う。

南:「まぁ落ち着いて。まずはそれを無効化させてもらうよ。」

そういうと南は掌をこちらへ向ける。手から赤い何かが俺の左腕へと刺さる。

が何も起こらない。

 「何をした!?」

南:「君の左腕のマイクをオフにさせてもらったよ。」

 「どういうことだ?」

南:「そのギミックには君の会話を利用しようとする人が着けたマイクがあったと思われる。なに、良くあることだ。」

装着時のことは記憶がない。気がついたら親父がいたことくらいだ。

南:「なに、ごく普通のことさ。私たち研究者には人体実験が認められているのは知っているだろう?」

 「あぁ。」

南:「さて、」

そういうと南はドアの鍵を閉めた。

今から90年前はアメリカで初の冷凍食品が、ナチスドイツがまだ強く、スケートや柔道の大会が開催されたり。国民選挙が始まって5年後だったり

カルチャーとしては講談社のレコード部ができたりの昭和5年。1928年に蒸気船ウィリーというミッキーマウスの映像が生まれたりした時代でした。

90年後は家にテレビはなく、ホログラム化された多くのもので溢れています。

電線はなく有線コンセントと無線コンセント。電池の仕組みも今より大きく進化していたり、衛星から電気を得るそんな未来設計です。すこしぶっとんだ世界観かもしれませんがお付き合い頂ければ幸いです。

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