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ただのサラリーマンの日常

1話 夢

それは血のように赤い月が出ている日だった。

「今日も眠れない」

いつものようにテレビをつけコーヒーを飲んでいると、こめかみの辺りが光った。


ー新着がありますー

こんな時間になんのようだ。

特にしていることもない俺はいつものように画面を開く

テレビの上にウインドウが被さる。


「就寝の時間です」

いつもの健康管理アプリが残酷にも時間を告げる。

「寝るか」

そう、これは俺の夢の中の話。ありふれたことだろ?



N:「やあ」

「きたよ」

N:「安定してきたね。良かったよ」

「おかげさまで」


N:「これからは経過観察としよう」

N:「もうあと数ヵ月か。さみしくなるよ」

と微笑んでいるような声

N:「しかし驚いたよ。何色になるのか、もしそのままなら……」


ここは2100年ほんの少し未来の話。

ものは空を飛び、柱のような建物がジャングルみたいにたっている。


国道以外は少しずつその形を崩しメタリックカラーとアースカラーが混じった

ありふれた世界。


「やぁ、世界」

リマ:「おはようございます」

リマ:「夢はどうでしたか?」

 俺は空間に夢の話をする。

 部屋自体がスマートスピーカーみたいに反応する。


リマ:「「夢」のカテゴリが83になりました」

リマ:「本日の予定は……」

今日も生きてるからな。仕方がない。

「リマ、色の特性の専門に21時アポをとっておいてくれ」


さて、行かないと

俺は準備を終え家を出た。

ーーー

 ウィーン

「おはよう」

ロッカーロボ:「おはようございます」

ロッカーロボ:「いつものでよろしいですか?」

「頼む」

 ガチャッ



 このロッカールームは昔のコンビニと言われる場所だ。

 生まれた頃は商品が並べてあってワクワクしたが、今じゃこの方が楽だ。

 自炊できないのは相変わらず。ってそれはいいや。

 職場までは10分、健康のためそれ以上近くはできない決まりだ。


ーーー

「おはようございますっ!」

店舗の人:「おはようございます」

 ガチャガチャ

 ○○番野菜抜きで、、、


 こうしていつものように仕事をし、疲れて家路につく。

 ありふれたこと。

 だけど俺は少しずつ変わっていくことになる。

 あの人との出会いによって


ーーー

「ただいま」

リマ:「お帰りなさい。お風呂へどうぞ」

ちゃぽん→ガチャ→ブゥーン


 部屋は簡素なもんで、生まれた頃あったものはどんどん減り

 今は本棚とベッド、ホログラム装置とウェアラブル用の棚、廊下には必要家電。

 あとは使ってない調理器具と使ってない水槽くらいだ。だから引っ越しも広いベランダの数機のホバーがすぐに終える。俺は中流のリベラルオンリー(独身)30歳。ありふれた人間だ。


2話 色

リマ:「コールが届きました。今朝アポイントをお取りしたEさんです。ホログラムを起動しますか?」

「頼む」

 ヴン

E:「やあ」

「こんばんは」


E:「アクセスするよ」

「お願いします」

 ホログラム機上部のカメラが起動

E:「ほぅ。白とは珍しい」


 最近まで色を意識したことはなかったが、人には色があるらしい

 血液とは違い固有ではなく、変化すると聞いているその色は自分を強化するのに有効で、上流はもちろん、中流でも取り入れている人は多いそうだ。

 色の検査は幼い頃の入学検査くらいだった。何色組かで分けるんだよって言っていた気がする。

「昔は黄色だったらしいが、何が珍しいんですか?」

E:「色には基本の3色があり、赤、青、緑があることは知ってるね?」

 俺は頷く


 幼年期は人の色について調べることは禁止されており、成人者から伝えることも禁止されている。

 成人するとその許可を所得することができ、より詳しく調べたり研究するには免状が必要になる。


E:「幼い頃は色は変わりやすく年と共に固定されていく。それは年と共に決まった色が大きくなっていくからだ」

E:「赤は好奇心など先への気持ち。青は考察など後への気持ち。緑は今、周囲への気持ちを表すと言われている。それが混じりあっていろんな色になる」


E:「黄色は周りへの思慮と未来への期待をもつ人が多い。それが白になるというのは何かよほどのことがあったのではないかい?」

 さすがはリマの選んだ人間だ。鋭い分析力。

「ああ、だがなぜ白は珍しいんだ?俺と同じ経験なんてきっと多くの人も経験してるはずだ」


E:「そうだね。ただ多くの人は黒っぽくなっていくんだ。時と共にまたもとの色に戻っていく」

「俺は逆に白になったから珍しいのか」


E:「……いや、黒の逆は透明だ。だから珍しいのだよ」

 訳がわからない。オセロみたいなものじゃないのか。


E:「君の場合はおそらく青だけが大きくなったようだね。その年で違う色だけが大きくなる。そして3色のバランスがとれている。それは珍しくすごいことなんだ」

 お、なんか誉められてる?俺ってすごいのか?

E:「ほら、少し揺らめいた。そうして多くの人はまた別の色になっていくんだ……」

 突然険しい表情でEは続ける。


E:「だが、黒へは変化してはいけない」

「わかりました」

 わかっていないがこの気迫には同意しかできない。


E:「白は染まりやすい。根まで染まってしまえば良いのだよ。だが白から黒へ変化するのはとても危険なことなんだ」

E:「グレーと呼ばれるそういった人はいつも世界の調和を壊すと言われている」


 そう言った一瞬、Eは強く何かをを考えるような顔をした気がして、重い内容も相まって俺はまるで告白の返事を待つ時みたいに次の言葉をまっていた。


E:「しかし驚いたよ。クライアントが君だったとは。あの事件は酷いものだった。生きていて良かったね」

 期待を裏切るEの陽気な口調に、ほっとしたのか肩透かしをくらったのか、緊張のほぐれは俺の過去を思い出させた。


 10年前家族で旅行にいった時突如巻き込まれた事故、いや事件は俺の人生を変えた。


ーーー

 モビリティ(自動で任意のところまで運んでくれる便利なやつ)でいった海。


 その帰り親父は酔っていて記憶がないと言う。俺と母は直前まで眠っていた。

 ドゴン!

 どこかで大きな音がしたようで、俺は目を覚ます。街に近い道路、次第に大きな音が近づいてくる。


 遠くに黒い影が見えたと思ったらかすかな悲鳴が聞こえてくる。モビリティは自動で停止している。

 心臓の辺りがざわつく。運転のしかたなんてわからない。父はなぜかおもむろに外へ。実家に到着したと思っているようだ。キョロキョロし始めた。


 思考が何が起こっているのかと思うのと同時くらいに視界が暗くなる。

 そこからの記憶は無い。気づいた時には俺の左腕は違う何かになっていた。

 人工肌というやつで見た目にはわからないが自分ではわかる。そしてどことなく懐かしく感じたような気がしていた。


親父:「目が覚めたか。良かった。お前までいなくならないでくれよ」

「どういうこと?」

親父:「……」

親父:「私より先に死なないでって約束は守れたが、思ってたよりしんどいな」

 親父はそういって少し悲しげに微笑んだ。


ーーー

 その事故は時代の変化を疎む過激派による、過去のロボットを使ったテロだと報道されたようだ。今では制御装置がついていて使えない行動が多く、一時期に比べてロボの性能は抑えられている。


「とんだ有名人ですよ」

 俺は左腕をさすりながら呟く。

E:「そうだな。父が有名になりすぎたせいで君も苦労したんじゃないかい?」

「そうですね、、、」

E:「彼の発言は有力なヒントだった。テロのその後は彼によって防がれたと。一説にはロボット兵器による戦争を防いだとも言われていたね」

「ただそのことで親父は人か植物かわからないようになってしまいましたがね」


 あまりの悲しさとメディアの大げさな御輿。それに伴う影への恐怖。

 あまりに多くの出来事は少しの間に親父を大きく変えてしまった。

E:「きっと君も親父さんも時が癒してくれるだろう」

「そう願います」

E:「昔のように黄色に戻ると良いね。なに、思い出せば良いんだ。変に考えずに、気楽にね」

E:「ではそろそろ時間のようだ。またあおう」


 そう言ってホログラムは消えた。

 昔のように……か。


「リマ、10年前のプレイリストをかけて」 

リマ:「再生します」

 これが当時聞いていた曲か。やはり特になにも感じない。

「寝るか」


 この日は珍しく2日連続で夢の中のへと入っていった。

80年後のイメージの世界、主人公の関わるところからざっぱに説明いれてます。部屋は1ルーム。風呂上がりは全身ドライヤーみたいので、瞬間清潔に。部屋をクリーンに保つことで、引っ越しが簡単に。基本歩行による移動なので、10分圏内に引っ越す文化。ホテルと賃貸の間のような居住区。

著者の脳内イメージです。性格がざっくりなので、一緒に想像してくださればありがたいです。


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