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雨、時々、コーヒー

作者: 奈々






ザーッと雨が降る。

その中を必死でかけて行く。


雨は好きだが、傘は嫌い。

守ってくれてるようで、大して役に立っていないから。

「雨ざらしになるよりはマシだろう。」

誰が言ったんだっけ。


やっとの思いで君のところに辿り着いた。

そうだ、君が言ったんだ。





私は高校を卒業してもうすぐ2年が経とうとする頃

先生に会いに行った。


もう20時30分を過ぎていて

さすがに人の気配はほとんどなくなっていた。

窓に人影が見えて駈寄る。


やっぱり、先生だ。


私に気づいて鍵を開けてくれた。

「何してるんだ…?」


懐かしい声がとても切なかった。


大学に入りデートをし、告白をされる度に

頭をよぎる先生が私の恋路を塞いでいて、

いっそのこと、

撃沈してしまえば楽になれる。

誰かを好きになれる。

そう思い立った1月の寒い頃。


「先生に会いに来たんです!」

「なんだ、それは…」

「とりあえず、中に入れ。寒いだろ」


そう言われて職員室へと向かった。


いつ話せばいいのだろう。

どこから伝えたらいいのだろう。

いざ、会ってしまうと言葉にできない。


もうすぐ成人を迎えて

大人になるはずの私はまだまだ

情けないくらいに子どもだ。


職員室に入ると人気は無くなっていた。

ただただ静けさが広がっていた。


「久しぶりだな、元気にしてたか?」

そう、先生が言ってはっと自分の目的を思い出した。


「はい、お久しぶりです。相変わらず遅くまでお仕事してるんですね。」


「もうすぐ試験があるからね。」

「最近はどうしてた?」


近況を話し、たわいのない時間が過ぎて行く。


「コーヒー飲むか」

10分くらい経ったころだったと思う。

先生がそう言うと席を立ち給湯室へ向かった。


「砂糖とかミルクは使うか?」


「いらないです。」


「インスタントで悪いけど。」

二重に重ねてある紙コップには熱いコーヒー。

かじかんだ手にコーヒーの熱さが痛む。


「あったかい」


インスタントコーヒーの当たり障りのない味が口に広がる。

私が飲んだのを確かめると先生もコーヒーに口をつけた。

少しの沈黙を甘く感じさせる。


「美味しいなあ…。」


冷えた身体に染み込んでいく暖かさが

優しくて思わず出た言葉。


コーヒーには癒しの効果があるってどこかで聞いたことがあった。


インスタントコーヒーは味気なくて、あまり好きじゃなかった。缶コーヒーよりはマシくらいの気持ちでいた。


でも、このときに飲んだインスタントコーヒーは美味しいコーヒーを求めてカフェ巡りをしたときに出会ったコーヒー達よりも遥かに美味しかった。


そのあとも1時間くらいたわいもない事をただ話していた。自分が何しにきたのかを忘れてしまうほど先生の話に夢中になっていった。


初めて二人で飲んだコーヒーより

美味しいコーヒーとは出会うことができなかった。


最後までお読みいただきありがとうございます。


皆さんはどんな時にコーヒーを飲みますか?

休憩?友達との時間?

どれも、とても素敵な時間だと思います。

コーヒーには、癒しの効果がある。


特にホットコーヒーは、好きな人と一緒に飲むのがいいとどこかで聞きました(笑)


私自身、恋人と一緒に飲むコーヒーが一番好きです。

それは、癒しと一緒に愛しさが増すような感じ。

暖かさが2人だけを包んでくれてる感じ。

なので、暑い夏でも一緒に飲むのは

ホットコーヒーがいい。


美味しいコーヒーはもちろん最高。

だけど、安いコーヒーでもいいと思うんです。


そして、失恋した日、喧嘩した日のコーヒーは

何よりも味気ない。

きっと、どんなに美味しい

コーヒーを飲んでもそう感じます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] キュンキュンきました。 [一言] 最初のコーヒーが最高なの、良いです。 2回目以降は苦い思い出で苦いのか?いや、それ以降とあるから付き合えで日常になれたのか、やきもきしますが、いずれにせ…
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