62話:ポルトガルのフンシャルへ1
市場の外に大きな売り棚がしつらえてあり、色とりどりの果物、花が所狭しと
並んでいた。母と夢子が、あの花がきれいと言い早足で花屋へ向かい、こら何と
クジャクのような形をした綺麗な黄色い色の花を指さすと、これがこの島の自慢の
極楽鳥花だよと言い一つ買って行くと良いと話かけるので大きくてきれいなのを
選んでと、まんまと買わされるはめとなった。
今日、入荷した中では、これからと大きい花を持ってくると、母も夢子も、
いくらと聞くと100ユーロ、12000円と言うので、わざわざ、遠い日本から
来たので安くしてくれと、芝山伸吾が英語で言うと、君たち日本人かと言うと
、日本人とポルトガル人は付き合いが長いから、80ユーロにしてやると言った
ので包んでもらい支払うと、朝晩、水を取り替えると長持ちするからと笑い
ながら教えてくれた。
果物売り場ではパッションフル-ツが目をひき、なじみあるのはパイナップル
とバナナ、柿も置いてあり柿を5個買った。魚はいわしが多く、その奥に何やら
細長い黒い大きな魚が並べてあり行ってみるとグロテスクな口と大きな目と真っ黒な
、大きな黒太刀魚がいっぱい陳列してあり、日本人かと聞かれ、魚好きだろと
笑いながら言った。夢子が怖そうに見つめると、ひょうきんな店主が一匹の大きな
黒太刀魚を手に取り、どうだ立派だろ目の前に持ってくると悲鳴を上げるのを笑って
喜んで見ていた。
そして壁には、さすがポルトガル、きれいなアズレージョ・装飾タイルが張って
あった。その向こうの大きな魚屋で大きなマグロの輪切りにして、大きな塊で売って
いた。店員が日本人と見ると、さしみと話しかけてきた。1時間足らず見学して、
菓子パンと飲み物ビールを買い込んで、タクシーでホテルに戻り、各自、自由に
夕方まで過ごすことにして、母は昼寝すると言い、ベッドに入った。
芝山夫妻は珈琲を入れて買ってきた菓子パンを食べて、今回の旅行の話や今後
の旅行の計画を長い間、話をしてからベッドに入って、起きたら18時過ぎて
いて母はホテルの庭を散歩していた。芝山夫妻も起きて花瓶の極楽鳥花の水を
取り替えた。そうしていると夕食ができたとフロントから連絡が入りレストランへ
行くと魚の揚げ物の上に熟れたバナナをのせた料理が出されて魚は何かと聞かれ、
黒太刀魚だと教えられたら、夢子が昼間見たあのグロテスクな魚が、こんなに
ふんわりに揚がるのねと言い、おいしいと言った。
するとマディラ島では魚と言えば一番高級な魚は何と言っても黒太刀魚で庶民的な
魚はイワシだと教えてくれ、イワシも唐揚げが多いと言った。その他、エビ、
カサガイもレストランの高級料理だねと言った。そしてパンを持ってきたが、
地元のパン「ボーロ・デ・カコ」も食べてみるかと言い、持って来てくれた。
小麦粉に茹でたサツマイモを加えて作る。発酵・成型させた後に鉄板で焼くので
、丸く平たい形が特徴。ボーロはポルトガル語で「ケーキ」、カコは「破片」
という意味で「破片のパン ?」不思議な名前だった。焼いたボーロ・デ・カコ
はバター・パセリ・ガーリックがしみ込んでいて、非常においしかった。