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53話:ゴールデン・ビザの相談1

 彼の両親が以前ファドレストランやっていて、年を取って病気になって困ると

、イギリスやドイツの病院に行き、精密検査受けたり、入院したと言った。東京は

ニューヨーク、ロンドン、パリを並ぶ、大都会じゃないか、そんなに良い所に

住んで、こんな、田舎に来る理由がわからないと不思議がっていた。


 そこで、詳しく話すのは面倒なので、自然が気に入ったとか、理由をつけた。

 それでも、良いシーズンにだけ来て、旅行した方が無難だと思うよと

アドバイスしてくれた。所で君は東京に行ったことあるのと聞くと、行きたいが

行った事はないと言い、金ができたら、是非行きたいと言った。


 やがて、時間となり、タクシーで指定された待ち合わせ場所に行くと、

ブルーのジャケットを着た、老年紳士が近づいてきて、D証券の里山繁君か

聞かれ、そうですと答えると後についてきてと言われ、近くの素敵なマンション

に入り、最上階の部屋に連れて行ってくれた。部屋に入ると、若い30から

40歳代と思しき女性が出て来た。とっさに、里山が奥さんですかと聞くと

、いや違うと言った。部屋に入ると、広いリビングの6人掛けの大きな

テーブルに、魚屋、肉、チーズ、果物、野菜が盛られて、ワイングラスに

酒ダメな人はいないよなと聞き、ワインをついでくれた。


 そして、初めましてと言って乾杯した。そして、宴会が進み、真野久夫

の投資での武勇伝を聞かされてた。しばらくして芝山伸吾が、ところで

ゴールデンビザを取りたいと思っているのですが、それについて教えて

いただけませんでしょうかと丁寧に言うと、あー、そーだったねと言った。


 更に、芝山と里山の2人で大きなマンションを買うか、一軒家を買う方が

良いのか、住む場所は、リスボン、ポルト、その他の方が良いのかなどの

御意見をお願いしますといった。これを聞いて、まず、なんで、ゴールデン

ビザを取りたいのかと聞くので、旅行して自然や人が気に入ったのと無税で

投資ができるからと答えると、最大の理由は投資かポルトガルの自然の

どっちだと聞かれ、半々だというと、君たちは当然、子供、孫もいる立場だろ

と聞くので、えー、その通りですと答えた。


 すると、そんなリスクをおかしてもポルトガルに来たいのかねーと不思議

そうに言った。すると、芝山伸吾が、ぶしつけな質問ですが、真野久夫が

ポルトガルのゴールデンビザを取得した理由をお聞かせいただけない

でしょうかと聞くとわかったと言った。


 そして、真野久夫が生まれは東北の貧しい漁村で、やむなく故郷を捨てて

、東京へ出て来て、アルバイトしながら中央大学経済学部の夜間部を卒業

して、小さいときから金に苦労していたので、お金に復習しようと思う

くらいな気持ちで日本株投資を勉強してD証券に入社した。その後、猛烈社員

で多くの1任勘定のお客さんをつくり、2000年の頃までは、大儲けして、

一時は資産が3億円を越えた。


 しかし、2001年からのネットバブル崩壊で3人の1任勘定のお客さんを

ひどい目に合わせてしまい、投資の恐ろしさを再認識した。その後60歳・

定年となり1人でマンションに住んでいた。その頃には、東北の実家の方では

、両親は死亡し、兄弟達も苦しい生活をしている様で、帰るところがなくなった。


 それでも、堅く、株投資を続けて、食いつないだ。ある日、朝起きて、

鏡を見ると、60歳を越えた、白髪の老人が映っていたのを見て孤独老人に

なったなーと思い始めると、急に惨めになった。損版は酒を飲んで気を

紛らわせたが、この寂しさは埋まらなかった。

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