29話:音楽の旅、西ヨーロッパ2
屋上にも上ることができる。その他リスボン大聖堂は2世紀末に、アフォンソ
1世がリスボンをイスラム勢力から奪還した後に、モスクが建っていた場所に
建てられた教会で、その後は砦としても使用された。完璧な設計で大震災が
起きた時も崩壊しない強固な造りになっていた。ロマンス様式の質素な造りを
後からゴシック様式の回廊やバロック様式の祭壇など様々な様式が加わり、
聖堂内が教会に厳かな雰囲気。
また14世紀に作られた聖堂や正面にあるバラ窓、7つの丘の町と言われる
リスボンの中で最も高い場所にあるサン・ジョルジェ城。ユリウス・カエサルの
時代、ローマ人が要塞として使用した後、リスボンを支配した西ゴート族や
イスラム教徒、キリスト教徒の王など多くの民族達の城跡となった。
現在は公園で城塞からリスボン市内を一望できる絶景スポットで、夜には
ライトアップも素敵だ。リスボン2日目の夜、芝山夫妻はリスボンのファド
レストランへ出かけ食後、ファドを聞いた。そのギターの演奏と女性の歌声を
聞きほれ、郷愁を感じるメロディーがいいねと言い、雰囲気が日本の演歌に
似ているかも知れないと言った。
ポルトガル食事には、魚のフライが多く、日本人の口にあうと言い、食事代
が安いのも良いと言った。その後も、じーっと聞き入っていた奥さんが、この音楽
どっかで聞いたことがあると話し、思い出した、久保田早紀の異邦人だと言った。
奥さんが続けて、町は、まるで魔女の宅急便の舞台みたいで、海沿いは、紅の豚
の感じがするのが不思議だといった。
その話を聞いた、旦那さんが古い話だけれど「ちあきなおみ」に歌い方が
似ていると言い、そういえば、「ちあきなおみ」が日本人で唯一、ファドの曲を
出しているんだと思い出した。彼女の旦那さんが急死して、耐えられず、歌謡界
から去ってしまったけれど、天才的な歌手で彼女が一時、このファドに感銘を
うけて、「霧笛」という日本語のファドの名曲を歌った筈だと教えた。
ポルトガル・ファド恐るべしだねと言った。こんな話をしていた後も奥さんは
、ファド歌手の歌をじっと聞き続けていて、涙ぐんだかと思うと、その涙がしたたり
落ち、何度もハンカチで涙を拭った。日本人のここの琴線に触れる良い曲だわと
しみじみと言った。ファドを聞き惚れて、結局最後まで、聞きわ終わると、日付
が変わっていた。
ショーが終わると、芝山夫妻の姿を見ていたウエイターが近づいてきて、英語
でリスボンのファドとコインブラのファドは、また違うから是非、コインブラの
ファドも聴くと良いよと微笑みながら言ってくれた。そして最後にポルトガル人は
、日本人が大好きですよと言うと旦那さんがチップを渡しサンキューと握手した。
そして、店を後にし、大勢のお客さんの集団と一緒にホテルの方へ帰って行った。