28話:音楽の旅、西ヨーロッパ1
2010年7月1日、芝山夫妻は朝7時に家を出て、成田空港に9時に到着し
11時発ブリュッセル空港行きに乗り込み、出発した。その後、12時間かけ、
ブリュセル空港へ16時前に到着し、1時間の待ち合わせで、ブリュッセル空港
17時発のリスボン・ボルテラ空港行きの便に乗り継いだ。
その後、3時間弱で19時前にリスボンに到着した。直ぐにホテルに入り、
シャワーを浴びて床についた。翌7月2日、テージョ川の河口にあるベレンの塔
を見学に出かけた。それは、ジェロニモス修道院と同じマヌエル様式で建てられた
石造りの塔で、白い外観は、高貴な感じがする。かつては、テージョ川を監視
、リスボン港を守る要塞として利用された。
3階のテラスからは向こう岸にある、巨大なキリスト像やクリスト・レイを見る
ことができ、大航海時代を代表する建物として世界遺産になっている。また、
リスボンの北西部・シントラにあるペーナ宮殿は1836年にマリア女王2世の
王婿であるフェルナンド2世により標高500mの場所に建てられた。
ペーナ宮殿は、ゴシック風、マヌエル風、イスラム風など様々な建築様式が
入りまじり、19世紀のロマン主義を象徴する建物として有名で、1995年
には「シントラの文化的景観」としてシントラの宮殿やレガレイラの宮殿とともに
世界文化遺産にも登録された。古い宮殿だが、カラフルで子供の絵本に出て
きそうな外観は、かわいらしい。
奇怪な宮殿レガレイラはファンも多く、この宮殿と広大な庭園を造ったのは
変わり者の大富豪、アントニオ・カルヴァーリョ・モンテロイ。設計を担当
したのが舞台芸術もやっていたルイジ・マニーニ。いろんな建築様式を取り
入れ、個性的な外観、美しいモザイクや彫刻、彩り豊かな室内が完成し、その
個性的な所が魅力的な宮殿で、もちろん庭園も人気がある。錬金術や
フリーメーソンを象徴するシンボルが至る所にある。
さらに人を驚かせる楽しい仕掛けがいくつもある。次に、世界的に有名な
ジェロニモス修道院。ここはマニュエル1世がエンリケ航海王子を称えるため
ヴァスコ・ダ・ガマの海外遠征で得たお金で建てた修道院だ。16世紀初め
に作り始め、完成は19世紀。工期が300年以上も費やした修道院は、
その完成度の高さからポルトガル建築の最高峰と言われ世界遺産になっている。
大航海時代の繁盛振りが感じられる豪華な装飾が施され、入口の上部に
エンリケ航海王子や聖ジェロニモスの生涯が描かれて、また中庭を囲んでいる
回廊の繊細で優雅な彫刻も一見の価値ある。発見のモニュメントは、テージョ川
に立つ高さ52mの巨大なモニュメントで1960年にエンリケ航海王子の
500回忌を記念して作られた。帆船をイメージしていて、海へ出航する勇ましさ
を表現しており、モニュメントの先端にはエンリケ航海王子、宣教師、天文学者
など第一線で活躍した32人のレリーフがある。