表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/120

第3章ー13

 小畑敏四郎大将は、そのような想いが頭の中でよぎるのを覚えつつ、米軍が主力となる北満州の作戦についての説明を行った。

 

「アムール州への侵攻作戦を担うのが、米軍を主力とする第二軍と第四軍です。それぞれ米6個師団を基幹とします。ブラゴベシチェンスク以東の侵攻作戦を第二軍が、それ以西の侵攻作戦を第四軍が担います。アムール州をほぼ制圧した後、ブラゴベシチェンスク攻略作戦を発動します」

 小畑大将は、そのように説明した。


 小畑大将の本音としては、まずはブラゴベシチェンスク攻略作戦を発動したいところだった。

 何故ならブラゴベシチェンスクはアムール州の要と言ってよい都市であり、ここを早期に制圧することはソ連極東領の制圧に役立つものと推察されたからである。

 だが、様々な要因がそれを押し止めさせた。


 まず、ブラゴベシチェンスクは満州の黒河と対峙するかのように作られた街であり、19世紀に建設されて以来、黒河方面からの侵攻に備える形で建設されてきたという歴史があった。

 そのために黒河方面からの急襲によってブラゴベシチェンスクを攻め落とすというのは困難であると、小畑大将どころか、マッカーサー将軍でさえ考えざるを得なかったのである。

 そして、ブラゴベシチェンスクは、既述のように当時のソ連極東領において唯一のT-34戦車を量産可能な工場を持つ都市でもあった。


 勿論、T-34戦車と日米満韓連合軍が実際に激突したのは、1941年5月以降のことであり、この会議の時点では単にソ連が新型戦車の量産に取り掛かった、日本の百式重戦車でさえ苦戦を強いられる強力な戦車らしい、という程度の事しか分かってはいなかった。

 そして、この当時に米軍がようやく導入したM3中戦車は。

 57ミリ長砲身を搭載したとはいえ、百式重戦車と単純比較しては劣る戦車なのは否定できない。

 そのために戦車同士の直接対決を強いられかねないブラゴベシチェンスクへの急襲侵攻作戦について、米軍は否定的な態度を取らざるを得なかったのである。


 その代りに、アムール州全体を先に制圧する作戦を米軍が展開することで、ブラゴベシチェンスクに立てこもるソ連軍を誘致しようというのが、小畑大将の作戦案の基本だった。

 こちらが攻める方よりも守る方が、日米満韓連合軍にとって優位に戦える。

 第二軍は米軍6個師団、第四軍も米軍6個師団が投入される予定だ。

 これだけ投入すれば、アムール州制圧作戦を実行する兵力に不足はあるまい。

 そして、ブラゴベシチェンスク以外のアムール州、ルフロウォ以東を制圧した後、第二軍と第四軍はブラゴベシチェンスク攻略に取り掛かる予定だった。

 ここまでの状況に陥れば、ブラゴベシチェンスクは完全に孤立している。

 燃料等の補給は途絶している筈で、こうなっては新型戦車といえど役立たずになる筈だった。


「なお、第6軍が米軍4個師団を基幹として編成され、万が一のイルクーツク、チタ方面からのソ連軍の反攻に備えることになっています。そして、日本軍の3個機甲師団が総予備として控えます。なお、(蒋介石率いる)中国(満州国)軍は、基本的に引き続き中国領内の親共産中国系のゲリラ等鎮圧にあたると共に、外蒙古政府への武力抵抗を行っているモンゴル民族主義者への支援をお願いします」

 最後に小畑大将は、一気にそこまで説明した。


 正直に言って、幾ら強大な国力を誇る米国といえど、欧州とアジアとの二正面作戦は人口の面から難しくなっていた。

 更に連合国の兵器廠としての役割が米国にはある以上は、それなりに工員等を国内に残さねばならない。

 そのために満州の治安維持等については、中国(満州国)軍が担当することになったのである。

 ご意見、ご感想をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ