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第3章ー12

 韓国軍のことを頭の一部でそう評価しつつ、小畑敏四郎大将は更にソ連極東領への侵攻作戦を続けた。


「ウラジオストクの北、ヴォロシロフを目指すのが第三軍です。この部隊は、日本軍4個師団を基幹として編成され東寧方面から侵攻していきます」

 その言葉に、日本軍の将官達の顔がほころび出す。

 東部正面は日本軍が基本的に受け持つことになっている。


「ハンカ(興凱)湖近辺からマンゾフカを第七軍が目指します。この部隊には日本軍機甲師団2個を含む4個師団を基幹とする部隊から成ります」

 小畑大将はそれ以上の言及をしなかったが、第七軍に機甲師団が編入されたのには訳があった。

 地形等の観点から現在の極東ソ連軍が保有している戦車部隊の大半がヴォロシロフ近辺に集められていると推測されており、航空偵察による情報もそれを裏付けている。

 しかし、その一方で。


 東寧からヴォロシロフに掛けての地形は山岳地帯と言って良く、戦車の大部隊を投入するのにあまり向いていなかった。

 日米満韓の連合軍がヴォロシロフ方面に戦車を投入するとなると、ハンカ湖方面からヴォロシロフに戦車部隊を向けるのが相当だったのである。

 そして、1941年現在、日本陸軍の戦車は、最前線では57ミリ長砲身を搭載した一式中戦車や、スペイン内戦の際に製造設備ごと鹵獲したソ連製M1936(F-22)野砲を参考に海兵隊が開発した76ミリ長砲身を搭載した百式重戦車改が主力となる時代となっており、ソ連が開発している新型戦車とあらためて雌雄を決したいという想いもあって、このような措置が取られたのだった。


「虎林方面からイマン方面に侵攻するのが第五軍です。第五軍については日本軍6個師団を基幹とし、ハバロフスク方面からウラジオストク方面へのソ連軍の反撃を防ぐのも任務とします。イマン攻略後は、主力をもってハバロフスク方面の部隊の南下を防ぎ、一部を南下させます。それによってイマン以南の完全確保を図ります」

 小畑大将は、そのように説明した。


 日本軍の本音としては、ウラジオストク攻略を韓国軍に任せる以上、ハバロフスクについては日本軍で確保したかった。

(この後に述べるが、ソ連極東領において、三大都市といえるのが、ウラジオストク、ハバロフスク、ブラゴベシチェンスクであり、ブラゴベシチェンスクについては米軍が占領することになっていた。

 そして、ウラジオストクについては侵攻部隊の関係からも韓国軍の占領を認めざるを得なかった。

 従って、日本軍の本音としては、残りのハバロフスク占領は日本軍が担いたかったのである。)

 しかし、ソ連極東領制圧についての作戦全般を考えるならば。


 ハバロフスクは、ウスリー河とアムール河の合流点に作られた街と言っても過言ではなかった。

 そして、大ウスリー島等により、満州から直接にハバロフスクに侵攻することは困難だった。

 困難とは言え不可能ではないことから、後述する第八軍をハバロフスク攻略に向ける姿勢を示すことで、ハバロフスク方面からウラジオストク方面へとソ連軍が南下することを防ぐことにはなっている。

 それでも、まずはイマン以南を確保した上で、ハバロフスクを目指すのが妥当であると小畑大将は考えざるを得なかった。


「そして第八軍ですが、日本軍4個師団を基幹とします。満州からハバロフスクへの直接侵攻を図るように見せかけることで、ハバロフスク方面の部隊を牽制します」

 小畑大将はそう言った。

 日本軍18個師団(内2個は機甲師団)による大作戦である。

 日本軍単独で考えるならば、史上空前といってよい規模になる。

 更に3個機甲師団、1個歩兵師団を加えられないことは無いが、予備までも考えると限界だった。

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