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第4章ー31

 少なからず話が戻る。

 ベルリン攻防戦が本格化したのは、7月10日以降の事だった。

 だが、これは色々な事情から混乱して、中々ベルリンが陥落しないという事態を引き起こした。


 まず第一が、ベルリンからの移動をヒトラーが拒否したことである。

 まだ、独軍が確保している東プロイセン等への移動を、ヒトラーは断固、拒否した。

 このために多くの独政府の要人も、ベルリンに残ることになった。


 更にこのことは、反ヒトラークーデタ―計画をも困難にさせた。

 カナリス提督を中心とする国防軍情報部は、反ヒトラークーデタ―計画の中心であり、ヒトラーを中心とするナチス党幹部を除去することで、米英仏日等の連合国に対し、宥和的な条件での講和を図ろうと考えていたのだが、問題はクーデターを起こす際に首都等の制圧任務を行う手足となる部隊に乏しいことだった。

 ヒトラー警護のためにベルリン防衛軍司令部の直接指揮下にない武装SS部隊(約1個旅団規模とされている)がベルリンに配置されることにもなり、ヒトラーを暗殺しても、却って独の混乱を招くだけではないか、というクーデター計画参加者の一部の声が高まったことから、結局、反ヒトラークーデタ―計画は見送られることになるのである。


 第二の原因が、ベルリン攻略の主軸を担う日米軍がベルリン攻略を中々本格化させなかったことである。

 勿論、独軍の通信内容を傍受、解析するいわゆるウルトラ情報によって、ベルリンを防衛する部隊が乏しいことが全く分かっていないことは無かったが、それがどこまで信用できるのか、と懐疑的な意見が日米軍内部ではそれなりに強かった。

(というか、ベルリンを護るために、それこそ軍規模の部隊が立てこもっていてもおかしくない、と考える方がある意味で常識的な考えである。)


 そして、ベルリン救援を図る独軍部隊を迎撃する必要もあった。

 これをベルリン攻略に当たっている日米軍は無視する訳には行かなかった。

 単純に無視しては、腹背に攻撃を受けることになり、下手をするとベルリンからヒトラーが逃走する事態さえありうると日米両軍に考えられた。

(これまた、実際にはヒトラーはベルリンから脱出するつもりは毛頭なかったらしいが、日米両軍にはそんな事情は分からず、ヒトラーはベルリン脱出の機会を日米波連合軍の攻勢が急であったことから逃がしただけであるという見方が強かったのである。)


 こうした事情から、ベルリン攻略作戦は中々本格化しなかった。

 むしろ、ベルリン周辺の掃討任務を日米両軍は先に済ませることになった。

 ベルリン攻略作戦が本格化したのは、こういった事情から7月20日以降の話になった。


 もっとも、実際に主に投入されたのは米軍であり、日本海兵隊は2個師団、第5海兵師団と第6海兵師団の2個師団に過ぎなかった。

 それ以外の日本海兵隊4個師団は、ポーランド解放を主な任務として向かっていたからである。


 だが、この約10日のロスは、後知恵で言うならばだが、日米両軍の損害を増すことになった。

 この間に、ベルリンを防衛する独軍は、できる限りの陣地強化を行って、日米両軍の攻撃を迎え撃つことになったからである。

 また、ワルシャワの破壊をかつて非難したことから、ベルリンに対し大規模爆撃を行うことに米陸軍航空隊は消極的であり、これも損害を増した。


(これは、米陸軍航空隊が、ベルリン攻略作戦の際に、地上支援任務を行わなかったという意味ではない。 実際に地上軍が独軍や国民突撃隊を攻撃する際には、近接支援任務を米陸軍航空隊は多々行っている。

 だが、B-17,B-24といった重爆撃機は、このベルリン攻略作戦において基本的に使用されていなかったのである。)

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