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第4章ー28

 更にこの日本海兵隊の突進を容易にしたのが、独軍のバルト海沿岸の防衛体制だった。

 基本的にバルト海からの上陸作戦を想定した防衛体制の構築をするのが手一杯で、地上からの攻撃に備えた防衛体制を築けていなかったのである。

 もっとも、そのような防衛体制の必要性を直前まで、ベルリンから東寄りのバルト海沿岸にいた独軍部隊は考えていなかったというのも事実だった。


 まず、ベルリン攻略に日米波連合軍は掛かる筈、我々はそれを阻止するために移動するのが第一、第二がバルト海からの上陸作戦阻止という判断で、独軍は防衛体制を築いていたのである。

 そして、日米波連合軍の津波のような急激な進撃を受けた主にベルリン以東の独軍は、日米波連合軍の攻勢に対応する防衛体制を築く前に、日米波連合軍の猛攻を受ける羽目になり、それこそ苦戦、崩壊の路を歩むことになった。


 土方勇中尉が所属する日本海兵隊の戦車団を先鋒に急進撃を続けることにより、7月末にグディニヤ、ダンツィヒという良好な港湾都市を、終に日本海兵隊とポーランド軍は確保することに成功した。

 この港湾都市の確保の背景には、ポーランド軍の急激な進撃に呼応して、旧ポーランド領内で住民の蜂起が相次いだというものもあった。

 ポーランド軍が接近したことで、ポーランド系の住民が呼応して武装蜂起した例が多発したのである。


 勿論、ドイツ系の住民も混住していたので、逆にドイツ系の住民がこういった武装蜂起に対して逆に武装抵抗する例もあったが、旧ポーランド領内では、半ば当然のことながらポーランド系の住民が多数派だったために、ポーランド系の住民の武装蜂起が成功することの方が多く、それがポーランド軍と日本海兵隊の進撃成功の一因となった。

 だが、このことは第二次世界大戦後に住民間の憎悪、対立を生み出すことにもなった。


 第一次世界大戦以前は、民族、宗教の異なる住民が混住するのは、例えば、オーストリア=ハンガリー二重帝国の例から言って、欧州では特に目くじらを立てるような事ではない、と多くの人が考えていた。

 だが、第一次世界大戦において唱えられた民族主義は、それまでは民族の混住がそれなりにあった地域において、民族対立の芽を広く蒔いてしまった。


 勿論、それ以前から民族主義者の声が無かった訳ではないが、第一次世界大戦以前は極少数で潜められた声で語られることだったのに、第一次世界大戦以降は少数とはいえ公然と語られることが稀では無くなったのである。

 更に第二次世界大戦によって、その声は更に大きくなった。

(また、ソ連や共産中国を崩壊させるという自国の利益のために、日米等の政府はそれを煽った。)


 こうしたことから、第二次世界大戦後、世界各地において、民族、宗教対立に基づく戦争、紛争が相次ぐことになるのだが、そうした先例の一つとして、この時の旧ポーランド領内におけるポーランド系とドイツの住民対立とそれによって起こった武装紛争は挙げられることが多い。


 言うまでもなく、そんな事態が将来に起こるとは、土方中尉らは知る由もないことで、先走った話になるが、こういった武装蜂起もポーランド軍と日本海兵隊の急進撃を側面から支えたのも事実だった。


 土方中尉はダンツィヒを占領した後、その地で3日の間、補給等に務めることができた。

 実際問題として、愛用の戦車は1月近い無理な急進撃の代償として、完全なオーバーホールが必要な有様で、整備兵の一人がよく稼働していました、という程の有様だったのだ。

 余りにも急進撃をしたことから、独軍の慰安所までもがそのまま遺っている有様で、不良兵は早速そこを利用しようとしたので、土方中尉が鉄拳制裁する有様だった。 

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