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マ王の異世界生活(仮)  作者: 石白 たんこぶ
2/5

マ王、目覚める

俺が眠っている10年という短い間で何が起きた。

アラジンは、どこだ。

「んぅ、、ふわぁ」

横で誰かが寝ていたようだ。アラジンでも寝ているのかと思った。


「、、、」

「、、、、、、、」


見たことのない種族、角も生えていない、模様もない。アラジンではない。。。

なんだこいつは。

「誰だ貴様は」

「、、、、えっと、こっちのセリフだけど、どちら様?」

言葉は通じる。

それよりも、こいつ、この俺を知らないだと。魔王のことを知らないやつなどおらぬはずだが。仕方がない、まだ生まれたばかりなのだろう。

「俺のことを知らないとは命知らずだな。娘。俺は魔界!(の)魔王である!」

どうだ、分かったか。気づいたか。

「まかい(の)まおう」

思い出したか!思い出したか!さぁ恐れおののけ、ひざまずけ。

「あぁ、馬飼馬王まかいまおうっていうのね」

「・・・」

あ、あれぇ?俺のこと知らない?え?嘘だろ?俺魔王だよ?

この10年の間に魔王の存在消されたの?え?「まかいまおうっていうのね」って知らないやつのセリフじゃんそれぇぇぇ。

「まぁいいや。馬王くん。今から朝ごはん作るけど、食べる?」


くんづけで呼ばれたの、初めて。。。(チーン)


「、、、一応作っておくから食べたくなったら1階におりてきたらいいよ」


とぼとぼ。。

一体、何が起きたんだ。アラジンはどこに行った。ここは一体どこだ。

何もしないわけにもいかない。まずは情報を集めねば。

そのためにもごはんを。。


「やっと、降りてきた。じゃあ食べよう」

なんだ、この娘は。まったく素性もしれない俺に飯をふるまうなど、どのような企みが。


「それじゃあ、馬王くん、いくつか聞きたいことがあるのだけどいいかな?」

好都合だ。

「あぁかまわん」


「まず一つ、なんで私の家にいるの?」

「ふ、俺にも、分からん。。」

そんな顔をするな。わからないものはわからないんだ。

「ふ、二つ目、どこに住んでいるの?」

「俺が築き上げた城だ。」

そんな呆れた顔をするな。本当に俺が建てた城だったんだ。

「迷子?」

この娘のことなど全くわからないがこれだけはわかる、今この娘は俺のことを馬鹿にしている。

「迷子なんかではない!」

ただ、なんて言おう。ここが未知の世界であるということは明らかだ。アラジンも居ない。誰の手助も借りることのできない今、仲間を作っておくことは必要だ。


「だが、記憶が、混濁している。俺は城で眠りについた。傍らには友が居た。だが起きた時にはここに居た。」

嘘はついていない。


「そっか。記憶喪失ってやつかな。とりあえず、なんだけど、記憶が戻るまで、ここで暮らしてみる?そんな贅沢な暮らしとかはできないけど。」

この娘は最初からこうだ。素性もわからない俺にたいして、何をしたいんだ。

それに、俺のような角が生え、顔には紋様がある、この俺を怖がらないなんておかしい。実はいうと魔の手のものか?

まぁよい。俺は最強の魔王だ。こいつが何者で何を企んでいたとしても、問題はない。


「おい、娘。この世界について、もっと知りたい。俺に教えろ。」

「娘?最初から思ってたんだけど、その娘っていう呼び方やめてくれないかな。私にも名前があるんだから。かりは、天野苅羽てんのかりは。それが私の名前」


それが、こいつの名前か。なるほど。

俺にここまで強気で意見するとは、やはりこいつ、できるやつなのか。


「いいだろう。では苅羽。俺にこの世界のことを教えろ。ハザン。」


ハザン、これは洗脳系魔法。俺の目にうつったものを洗脳することのできる、最高最大級の洗脳魔法。

これで、こいつはもう俺の人形だ。


「、、、あ、あと、敬語を使えとは言わないけど、その言葉遣いやめて。」


・・・あれ?ハザンをかけたはずなのに、効いていない、だと、こいつ何者なんだ。

ハザンが聞かないならお前の脳を調べさせてもらおう。


「ドグル」

・・・何も、起きないだと。これ以上は危険だ。いまはおとなしく従うほかないようだ。


「顔、洗ってきたら?」

俺がこんな娘に指図される日がくるとはな。何千年ぶりだ。


とにかく今は従うしかない。


「な、な、な、なんじゃこりゃあああああああ」

鏡に映る顔は誰だ。これはなんだ。



角もない。模様もない。あの厳格たる俺の顔が、こんなにも幼くちんちくりんな顔だと。

なんの悪夢だ。これはきっと悪い夢だ。


「ど、どうしたの?」

「いや、なんでも。。。」

「そう、あんまりびっくりさせないでね」

びっくりしているのはこっちのほうだ。


夢ならば、夢を壊す魔法だ。

「ボルグ」

何も、起きない。そうか、夢の中で魔法という力を使えないように設定されているのか。

こうなれば実力行使だ。

「苅羽!俺のことを殴ってみてくれ」

やむをえまい。こうするほかなかったのである。

「は?」

いや、そうなる気持ちはわかる。急に殴ってくれといわれて困惑する気持ちはわかる。だがこらえてくれ。ここは俺のためと思って。


「本当に、本気で殴っていいの?」

「あぁ、頼む」

娘の本気パンチなどくらったところでダメージにはならんが衝撃がくる。さすれば夢は覚めよう。


ドゴッ。

「カ、ッハッ」

いい、パンチだ。意識が飛ぶ。夢から覚めるようだ。さらばだ苅羽。

一食の飯、うまかったぞ。

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